PDPモジュールライン跡を太陽電池生産ラインに

LG電子が、太陽電池の生産に本腰を入れることを決定した。

同社は太陽電池事業に本格的に取り組むため、韓国南東部に位置する慶山北道の亀尾において、太陽電池の工場建設を推進すると発表した。

工場建設が予定される場所には現在、PDPモジュールのA1ラインがある。これを太陽電池の生産ラインとして転換する方針だ。さっそく2008年11月から、2つのラインを建設するという。同社ではこのため2010年12月までに、約2,200億ウォン(約167億8600万円/1円=0.0763ウォン)を投資する予定だ。また実際の量産開始は、第1ラインが2010年第1四半期頃、第2ラインが2011年第1四半期頃を計画している。

この2つのラインでは、シリコンウエハーを利用した、結晶型の太陽電池セルとモジュールが生産され、生産能力は120MWとなる。「結晶型の太陽電池は2010年までに、世界の太陽電池の80%を占めると見られている」(LG電子)ということで、結晶型に決定したようだ。

またLG電子によると、同社では過去4年間にわたり、太陽電池に関するR&Dを行ってきたという。これに加え、同社がもともと持っている大量生産能力と併せて、「世界的な太陽電池企業としての成長」(LG電子)を狙う。既にLG電子では、CTO(最高技術責任者)の直属部署として「ソーラーセル事業チーム」が設置されている。

グループを挙げて太陽電池事業を推進

今回、LG電子が新たに太陽電池事業に進出するのは、LGグループを挙げて推進している太陽光発電所事業が関係しているようだ。LGでは、太陽光発電を未来のエネルギー源および成長動力と想定し、同社の100%出資によるLGソーラーエナジーという会社も立ち上げた。一方、2008年6月にLG電子では、グループ会社であるLG化学から太陽電池事業の譲渡を受けている。

2005年から太陽光発電事業に進出したというLG。事業に取り組むにあたっては、ITソリューション企業のLG CNSをはじめ、LG化学、LGソーラーエナジー、LG電子というグループ企業間で、原材料生産から発電所建設に至るプロセスにおいて役割を分担してきた。具体的には、プラスティックシリコンなどをLG化学が生産し、こうした原材料をLG電子が引き取って太陽電池セルとモジュールを生産。さらに、LG CNSが太陽光発電所事業開発プロジェクトを進め、最終的にはLGソーラーエナジーが、太陽光発電所の建設や運営を引き受ける。

最近では韓国中部にある泰安郡の30万平方メートルの敷地に、14MWクラスの太陽光発電所を設けている。ここで生産された電力は、韓国電力に677ウォン(約51円)/KWで販売される。年間130億ウォン(約9億9,1900万円)の売上げを実現したいとしている。

LGが韓国中部の泰安に設置している太陽光発電所

「新たな再生エネルギーは、環境問題の解決になるとともに、有望な事業分野でもある」とLG電子は言う。同社は、本格的なエネルギー企業として第一歩を踏み出したばかりだ。