シマンテックは9日、メールセキュリティ分野の戦略について記者発表を開催。ローエンドからエンタープライズ市場までをターゲットにした戦略では、SMB(中堅・中小企業)市場における競争力の強化とシェア拡大、新たなニーズへの対応という2つの柱が掲げられた。
具体的には、ゲートウェイ用スパム対策製品ラインアップの名称統一、ライセンス統合とオープンプライスからリストプライスへの移行、仮想環境向けのソフトウェアメールセキュリティ製品の投入が行われる。
ゲートウェイ用スパム対策製品の名称は「Brightmail」に統一される。これは米国本社とともに実施するものだ。これにともなって、国内販売製品も一部で改称が行われる。ネットワークバウンダリ製品である「Symantec 8160 アプライアンス」は、新名称が「Symantec Brightmail 8160 アプライアンス」となる。また、ゲートウェイ製品は「Symantec 8300 アプライアンス」が「Symantec Brightmail 8300 アプライアンス」となる。元からBrightmailの名が入っていた「Symantec Brightmail AntiSpam」も「Symantec Brightmail Message Filter」に改められる。
また、従来は機能別に存在したライセンスが統合される。「Antispam」、「Antivirus+Antispam」、「Oremium Content Control」の3機能が存在したが、これが「Brightmail Gateway」として統合されることになる。
シマンテック ソリューション&プロダクトマーケティング部 部長 遠藤敦子氏 |
価格についても、従来のオープンプライスから価格を明示するリストプライスへと変更される。
これらの施策は、ユーザーにとってのわかりやすさを追求したものだ。特に、中小企業にとっての分かりやすさが重視されている。シマンテック ソリューション&プロダクトマーケティング部の部長である遠藤敦子氏は「シマンテックのメールセキュリティ製品出荷傾向を見ると、中堅企業に特に強く、続いて大企業となる。中小規模のSMBに層に対して訴求性が弱かった。ライセンス統合による競争力向上や、リストプライス化によって競合との比較が容易になることなどが狙い」と語る。
シマンテック ソリューション&プロダクトマーケティング部 プロダクト&プログラムマネージャ 今村康弘氏 |
SMB市場でのシェア拡大について、シマンテック ソリューション&プロダクトマーケティング部 プロダクト&プログラムマネージャである今村康弘氏は「これまでは海外での実績などから、大企業、中堅企業での評価が高かった。中小企業向けには積極的に展開してこなかったために弱さがあったが、今回の施策でSMB市場でも実績を伸ばしたい。現在、メールセキュリティ市場で大きなシェアを持っているのはバラクーダ。少なくとも、バラクーダを超えたいと考えている」と語った。
仮想環境向けのメールセキュリティ製品「Symaantec Brightmail Gateway Virtual Edition」は、すでに米国発表済みの製品で、機能的には「Symantec Brightmail 8300 アプライアンス」と同じものを提供するソフトウェアだ。両製品は「Symantec Brightmail Gatewayファミリー」として統一され、サブスクリプションライセンスも共通となる。正式サポートする構成は「VMWare ESX Server v3.x」で、テスト・デモ環境のみのものとして「VMWare Server 1.0.4」も挙げられている。
「Symaantec Brightmail Gateway Virtual Edition」は仮想環境でビジネスを展開する中堅企業・大企業とともに、ISP等のメールサーバアウトソース需要にも応える製品となっている。従来は弱かったSMB市場については「Symantec Brightmail 8300 アプライアンス」で対応する形で、「Symantec Brightmail Gatewayファミリー」によって企業規模を問わない全体的な対応を行うことになる。乗換え需要を狙った、ライセンス価格を50%オフにするキャンペーンも実施する予定となっている。