マイクロソフトは8日、パートナー向けのイベント「Microsoft Japan Partners Conference 2008」を都内ホテルで開催。その中で、同社のクラウドコンピューティング事業である「ソフトウェア+サービス」を強化。今後、Windows Server等のプラットフォームや.NETの開発環境もサービスとして提供していくことを明らかにした。

マイクロソフト 代表執行役社長 樋口泰行氏

まず、代表執行役社長の樋口泰行氏が『「地に足のついた」革新による確実な成長軌道の実現』という、2009-2011年の中期経営方針を説明。外資系のように四半期の数字ばかりを追い求めるのではなく、長期的な視点に立って、パートナーとの親和性を保ちながら信頼される会社になることを目標にするという経営方針を説明。その後、パートナーに対する取り組みなどが説明された。

2009-2011年の中期経営方針

今回キースピーチの中で数多く聞かれたのは「クラウド」という言葉。同社では、これまでも「ソフトウェア+サービス」として、従来からあるソフトウェアに加え、クラウドコンピューティングによってサービスを提供するという考えを表明していたが、今回のイベントでは、サービスの部分がより強く押し出される形となった。

樋口社長は、「従来からあるPCが付ける付加価値にプラスして、クラウドサイド(インターネットサイド)によって付ける付加価値の連携は不可欠だ。これからは、クライアントサイドとクラウドサイドがシームレスにつながっていくということを前提にソフトウェア開発をやっていく。これにモバイルを加え、PCとモバイルとクラウドの三角形によって、コンシューマにどう付加価値を提供できるかを考えないと戦略が片手落ちになる」と語った。

執行役 デベロッパー&プラットフォーム統括本部長の大場章弘氏は、「マイクロソフト自身の力では、企業に100%のソリューションをお届できない。パートナーさんが作られてきた付加価値の部分をどう提供できるのか、SOA、クラウド、SaaSなどという次世代のテクノロジーの中で考えていきたい」「自社運用、クラウド上のホステッド、どちらが正しいということはできない。自社運用、クラウド上のシステムを組み合わせて、どう最適なところでバランスをとるかが重要になってくる」と述べた。そして、Windows Serverのプラットフォームの部分、NETの開発環境の部分を今後サービスとして提供していくことを明らかにした。

今後はツールやプラットフォームもサービスで提供

マイクロソフトが考えるサービスプラットフォーム。一番下がWindows Server、2番目が.NETの開発環境、一番上がアプリケーションになるが、今後これらすべての階層をサービスとして提供していくという

具体的な内容は、執行役 常務 ビジネス&マーケティング担当の佐分利ユージン氏が説明。マイクロソフト自身がMicrosoft Online Servicesとして提供するのは、Exchange、Office SharePoint、Office Communication、Office Live Meeting、Exchange Hosted Service、Office Live Small Business。米国では、11月よりサービスが提供され、日本では来年前半に提供される予定だ。

マイクロソフト自身がMicrosoft Online Servicesとして提供するサービス

なぜグループウェアからなのかについて佐分利氏は「カスタマイズが少なく、企業の規模にとらわれず、サービスとして展開しやすい領域で、市場のニーズも高い」と述べた。

Microsoft Online Servicesでのユーザー作成画面。ユーザーは、自社システムのディレクトリサービスと同期できる。メールデータも同期できるという

Microsoft Online Servicesでの管理。ライセンスが全部でいくつあり、すでにいくつ割り当てられているかなどを管理できる

Microsoft Online Servicesでのクライアント用のメニュ画面

Microsoft Online ServicesでのOutlook