CEATECの開催4日目となる10月3日、国内PCメーカー各社の首脳が参加するパネルディスカッションが開催された。「モバイルコンピューティングが拓く新しい世界」をテーマに、インテル社長の吉田和正氏、NECパーソナルプロダクツ社長の高須英世氏、ソニーのVAIO事業本部 本部長 石田佳久氏、東芝のPC&ネットワーク社副社長 真田勉氏、パナソニックのAVCネットワークス社ITプロダクツ事業部 事業部長 高木俊幸氏、富士通パーソナルビジネス本部 本部長 五十嵐一浩氏、マイクロソフトのコンシューマー&オンライン事業部コンシューマー&オンラインマーケティング統括本部 本部長 笹本裕氏がパネリストとして参加。日経パソコン編集長の藤田憲治氏がモデレータを務めた。
参加したパネリスト |
最初に、各社のプレゼンテーションが行われ、事業戦略や製品、技術、サービスが紹介されたほか、そののちにいくつかのテーマについて、各社がコメントした。
インテル 代表取締役社長 吉田和正氏 |
インテルの吉田社長は、モバイルインターネット利用が拡大傾向にあることを示しながら、「3G、無線LANといった広帯域の無線インフラが整い、さらに来年2月からは、WiMAXのテスト運用が日本で開始される。来年夏以降はWiMAXのによる高速通信インフラが展開されることになる。一方で、ネットブックやMID、クアッドコアノートブックPCといった新たなカテゴリの製品が今年から登場しはじめていること、次世代プラットフォームであるNehalemに基づいた製品が再来年には投入され、新たなイノベーションを起こすこと、ポケットに入れてフルインターネット体験を実現するMIDが、新たな領域へと広がることが想定される。また、ATOMプロセッサによって、イノベーティブなモバイル端末を実現したい。モバイルインターネットはこれからの成長のキーであり、この分野において、多くの企業と一緒にイノベーションを起こしたい」とした。
NECパーソナルプロダクツ 代表取締役 執行役員社長 高須英世氏 |
NECパーソナルプロダクツの高須英世社長は、かつてHandy98やモバイルギアを発売するなど、これまでのNECのモバイルPCへの取り組みを紹介。「それぞれの時代の有線/無線の進化にあわせた形で取り組んできたが、多く人に利用されている環境にはなかった。だが、いまではモバイルPCに対するニーズが多様化し、ユビキタス時代が訪れている。現在は、快適性、ファッション性、安全性、堅牢性という観点から、ニーズにあわせてモバイル向けPCを選択できるようにしている」
「さらに、ホームサーバー・クライアントソリューションとして、Luiを製品化。シンクライアント端末を利用して、自宅のPCに接続して利用するといったPCオンデマンド方式の利用シーンが出てきている。NECでは、モバイルコンピューティングの実現に向けて、小型/軽量化を図りながらパワフルな進化を遂げるモバイルPCと、Luiのリモートアクセステクノロジによって自宅のPCの機能を、外出的で利用するシンクライアント化の2つのアプローチで取り組んでいく。シンクライアントはさまざまな形態で提供するだけでなく、パワーが少ない携帯電話やカーナビ、ビデオカメラにリモートアクセステクノロジーを搭載することも考えている。携帯電話で自宅の高性能PCの機能を使った高速処理や、ビデオカメラで撮影した映像を瞬時に自宅のPCに記録して、容量を気にせずに撮影を続けることも可能になる」などとした。
ソニー 業務執行役員 SVP VAIO事業本部 本部長 石田佳久氏 |
ソニーのVAIO事業本部・石田佳久本部長は、VAIOの定義を、従来の「Video Audio Integrated Operation」から、「Visual Audio Intelligent Organizer」に変更したことに触れながら、「とくにIntelligentという部分に力を注いでおり、それを具現化するために4つのアプリケーションを搭載している。これによって、ビデオ編集などの面倒な作業はVAIOにお任せ、ということが可能になる」とした。
一方で、「モバイルPCについては、2006年秋に米国市場において、業界で初めてとなるワイヤレスWAN搭載モデルを発売。その後各国の主要なキャリアパートナーとともに世界展開している。携帯電話が高機能化する一方、PCは小型化しており、New Mobileと呼ばれる新たなカテゴリが誕生するだろう。ソニーは、この市場の創造を目指すとともに、それに向けた商品を作っていく。同時にモバイルアプリケーションも様々なものが登場してくるだろう。1つのコンテンツを、外出先で見るときには画面サイズを小さく、家に帰って大画面テレビで見るときにはフルハイビジョンで楽しめるといった技術、サービスも必要になってくる」などと語った。