マイクロソフトは、学術分野や製造業における研究や開発など、従来スーパーコンピュータが担っていたハイ パフォーマンス コンピューティング(HPC)領域向けの新製品「Windows HPC Server 2008」日本語版を、本日よりボリュームライセンシングにて提供すると発表した。

Windows HPC Server 2008は、マイクロソフトが2006年に提供を開始したWindows Compute Cluster Server 2003の後継製品として開発した製品。大規模環境での導入展開を希望するユーザーのフィードバックを反映させ、従来は4ノードから8ノードという中小規模環境を対象にしていたが、学術研究や金融のユーザーを中心に数百から数千ノードという要望が数多くよせられ、今回は大規模環境対応に注力された。

具体的には、ノードのイメージをテンプレート化して配布できるようにし、OSのイメージだけでなく、パッチやドライバなども配布できるようにしたほか、GUIや管理ツールを一新。新しいマシンと古いマシンといったように属性別にグループ管理が行えるようになった。また、過去の行った操作を記憶して再現できるようになったほか、ヒートマップというマップ形式で1000以上ノードのCPUやメモリの使用率が管理できるようになったという。

ノードのイメージをテンプレート化

ヒートマップ

さらにSOAにもとづき、Excelで利用しているユーザー定義関数をサーバ側にサービスとして展開できるようになっており、ジョブ スケジューラーを高速にタスク分割できるようになったという。

SOAベースのExcel連携

米マイクロソフト ハイパフォーマンスコンピューティング担当 セネラルマネージャ キリル ファエノフ氏

HPCをWindows Serverで行うメリットについて、米マイクロソフト ハイパフォーマンスコンピューティング担当 セネラルマネージャのキリル ファエノフ氏は、HPCとITとの融合を挙げ、「いままでHPCというのは、ハードウェアについても、ソフトウェアについても独自のスパコンに頼っていた。そのため、エンドユーザーがワークステーションからアクセスする場合にもおいても、デベロッパーの人たちにとっても大きな障壁となっていた。しかし、いまではHPCは拡張性の高いWindows Serverに移ってきている。それにより、HPCとITテクノロジを融合し、使いやすい、互換性のあるプロセスをITセキュリティが実装された環境で利用できる。また、現在ITの世界では、並立処理へのシフトが起きている。そのため、それに合わせてソフトウェアを書き換える必要がある。しかし、HPCの世界には並立処理の長い歴史がある。こういったHPCのいいところもITの世界に持ち込むことができる」と述べた。

マイクロソフト 執行役 常務 ビジネス&マーケティング担当 佐分利ユージン氏

日本市場の取り組みについて執行役 常務 ビジネス&マーケティング担当の佐分利ユージン氏は、従来の学術研究、製造業に加え、今後成長が見込める金融分野に注力していきたいと語った。マイクロソフトの調査によれば、金融部門のサーバ市場は、年率60%の成長があり、リプレースだけなく、従来デスクトップで行っていた作業をHPC Serverで行うようにするなどして、純増を狙っていくという。

日本における市場

ライセンスの参考価格は、 Open Business Licenseが9万1,400円、Open Business License & Software Assuranceが13万7,000円、Open Business Software Assuranceが4万5,700円、Academic Open Licenseが1万3,500円となっている。