今回、同社のPCサーバ PRIMERGYの生産ラインを見学する機会を得たので、サーバの生産現場における品質向上の取り組みをレポートする。
福島県伊達市にある富士通アイソテック(FIT)は、年間100万台のデスクトップPCと、10万台のPCサーバ PRIMERGY(プライマジー)を製造する、富士通有数の生産拠点だ。ほかにも、企業向けのプリンタなどの生産や、パソコンのリサイクル事業も行っている。
今回、同社のPCサーバ PRIMERGYの生産ラインを見学する機会を得たので、サーバの生産現場における品質向上の取り組みをレポートする。
生産現場ではトヨタ生産方式であるジャスト イン タイムを採用
サーバの製造工程は、部品の受け入れから始まる。部品がトラックで入荷されると、まず、受け入れ検査が行われる。検査は計数調整型抜き取り検査だ。ほとんどの部品は目視によるチェックだが、HDDは実際に全数READ/WRITEテストが行われ、基準通りの性能(レスポンス)が得られるかがチェックされる。目視によるチェックでは、画面上にチェックするポイントが示され、それに基づいて検査が行われる。ここでは、部品をブラックボックス化しないというポリシーのもと、実際に部品提供メーカーを訪れ、生産ラインや品質の確認を行うほか、障害情報をサプライヤにフィードバックすることも行うという。
受け入れ検査が終わった部品は、搬入倉庫に移され、製造工程に入る。この工場では、トヨタ生産方式のジャスト イン タイム方式が導入されており、長いものでも3日程度の在庫しか持たないという。
製造工程では、必要な部品を倉庫から取ってくる、ピッキング作業から始まる。企業向けのサーバはほとんどがBTOによる注文生産のため、仕様はサーバごとに異なり、その数は1機種あたり100種類近くにもなる。そのため、各サーバは「組み立てシート」と呼ばれるシートにより管理されるほか、出荷後も納入先が追跡可能になっている。
生産はライン方式とセル方式の2パターン
工場の組み立てラインは全部で6本。うち5本はライン方式で、おもに1way、2wayと呼ばれる低価格帯のサーバ製造を行う。残り1つはセル方式で、ブレードや4WAYのRX600など、高価格帯のサーバを作る。セル方式では、担当が組み立てから試験まで、1人ですべての工程を担当している。ただ、最近はブレードサーバの需要が増えており、今後はライン方式に変更することも検討しているという。
ライン方式では、ジャスト イン タイムの考えに基づき、1つのサーバの出荷が完了したことを確認したのち、次のサーバをラインに流す。また、各担当は一定の時間内に作業を完了することが定められており、時間をオーバーしそうな場合、その担当はアラームボタンを押す。そして、ライン長が状況を判断し、場合によってはラインをストップすることもあるという。それは、障害に対するすばやいフィードバックを実現するため、「異常の見える化」をする必要があるからだという。