日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)は25日、仮想化環境向けのサーバブレード「HP ProLiant BL495c G5」、およびストレージブレード「同 SB460c SAN Storage Server」を発表した。ハイパーバイザ型の仮想化ソフトウェア「Citrix XenServer」のOEM提供も開始し、"ブレード×仮想化"をベースとしたIT統合ソリューションを推進していく。
日本HP ISSビジネス本部 ビジネスプランニング部 マネージャ 宮本義敬氏 |
日本HP ISSビジネス本部 ビジネスプランニング部 マネージャの宮本義敬氏は、新ブレードを発表するにあたり、まずIT統合に期待される効果を整理。「設置スペースの削減」「消費電力の削減」「システム変更の迅速化」「管理の効率化」の4項目を挙げ、ブレードと仮想化はともにこうしたニーズに応えることができる技術であると説明した。そのうえで氏は、同社が2005年よりブレードと仮想化を推進してきたことを明かし、今後も"ブレード×仮想化"によるIT統合を推し進めていくことを強調した。
今回発表された2つの新製品のうち、BL495c G5は「仮想化専用ブレード」と謳われるプロダクトだ。同製品の特徴を説明した日本HP エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 サーバプロダクト・マーケティング部 木村剛氏は初めに、仮想化に適したサーバの要件として以下の5項目を挙げた。
- コア数の多いプロセッサ
- 豊富で安価なメモリ
- 安定した高速なOS用ストレージ
- 豊富で広帯域なネットワーク
- 省電力、省スペース、さまざまな入力電源に対応
BL495c G5では、これらの要件に対して次の5つの特徴により応えたという。
- 最新のクアッドコア AMD Opteronプロセッサ
- 大規模16 DIMMメモリスロット
- 最新の半導体ドライブ(SSD)、内蔵USBメモリ
- 最大8ポートNIC、10GbE搭載
- 高機能エンクロージャ「HP BladeSystem c-Class」
日本HP エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 サーバプロダクト・マーケティング部 木村剛氏 |
上記5項目のうち、特に強調されたのが2つ目のメモリスロットだ。16個ものスロットを用意したことにより、「安価な小容量メモリモジュールを数多く差し込むという方法で、十分なメモリ容量を確保することができる」(木村氏)という。
「例えば、現在、メモリモジュールの希望小売価格は、4GBメモリキットが9万4,500円なのに対し、5GBメモリキットは26万2,500円、16GBメモリキットは73万5,000円。1枚の容量を2倍、4倍にすると、価格は約3倍、約8倍へと跳ね上がる計算だ。64GBを搭載しようと考えた場合、8メモリスロットのサーバと、16メモリスロットのサーバでは実に80万円の差額が生じることになる。これを15台のサーバブレードを搭載可能なエンクロージャ『HP BladeSystem c-Class c7000』で適用するとなると、その差額はトータルで1200万円にもなる」(木村氏)
また、HDDスロットは、32GB/64GBの半導体ドライブを2台搭載可能。最大で128GB(64×2)のソフトウェア領域を確保することができる。最新の半導体ドライブを採用したことで、読み取り性能が15倍以上向上するほか、SASドライブに比べて約80%の省電力、約25%の低故障率を実現したという。
一方、「SB460c SAN Storage Server」は、外部ストレージをストレージブレードとして認識させることができる新製品。エンクロージャのスロットに装着し、外部のFC/iSCSIストレージに接続するだけで、NAS/SANゲートウェイとして機能する。
なお、同社は、同じくiSCSI接続対応のストレージブレード「HP StorageWorks All-in-One SB600c」もリリース。こちらはプロセッサをインテル Xeon E5410にアップグレードし、省電力化を実現したという。
さらに木村氏は、これら新製品のリリースに加えて、仮想化ソフトウェア「Citrix XenServer」をOEM提供することを発表した。同ソフトウェアは、仮想マシンのマルチモニタ表示機能などを備えた独自の管理ツール「HP ProLiant Virtual Console」などが同梱され、「HP ProLiant iVirtualization by Citrix XenServer」という名称で提供。ブート可能なUSBスティック形態でオプション販売される。ブレード内部のUSBポートに設置し、簡単な初期設定を済ませるだけで仮想化環境を構築できる点が大きな特徴。
価格は、BL495c G5が32万9,700円~、SB460c SAN Storage Serverが126万円~、StorageWorks All-in-One SB600cが88万2,000円~。いずれも10月下旬より出荷が開始される。また、iVirtualization by Citrix XenServerは、基本機能のみの「Select Edition」と、XenMotionなどの付加機能を搭載した「Enterprise Edition」の2種類が用意され、前者が23万1,000円、後者が58万8,000円。それぞれ10月下旬、11月初旬に出荷開始予定。