レッドハットは9月25日、第2四半期の業績発表を踏まえ、日本市場への取り組みについて説明を行なった。

米Red Hat 上級執行役副社長兼グローバルセールス・サービス・フィールドマーケティング統括 アレックス・ピンチェフ氏

まず登壇した米Red Hatの上級執行役副社長兼グローバルセールス・サービス・フィールドマーケティング統括のアレックス・ピンチェフ氏は、金融市場の混乱や世界的な景気後退といった情勢下にあっても、「Red Hatの業績は好調で、高い成長率を維持している。Red Hatは2桁成長を続けているが、ソフトウェア業界で2桁成長を達成しているのはRed Hatを含めて2社のみだ」とした。

発表によれば、同社の第2四半期(2008年6~8月)の業績は、前年同期比29%増、前四半期比5%増の1億6,440万ドルだった。ビンチェフ氏は「1株当たりの利益額はウォール・ストリートの予測を上回る結果を達成した」という。

前年同期比29%増の業績

また同氏は日本市場での状況についても触れ、「日本国内のIT投資予算額は毎年1~2%成長というレベルで、ほぼ横ばいという状況が続いているにも関わらず、レッドハットは2桁成長を続けている」ことを指摘した。その理由として同氏が挙げたのは、「大手の主要ユーザーで採用が拡大している」ことに加え、「Linuxのリーダーから、ミドルウェアを含めたトータルでのサポートを提供できるようにレッドハットの中身が変化している」ことも強調した。

同氏は日本市場について「世界第2位の規模の市場であり、Red Hatにとっても魅力的な市場だ」とし、「今後も大きな成長を見込んでいる」とコメント。そして、今後も日本市場に向けて大規模な投資を継続していく方針を明らかにした。同氏が言及したのは、「日本国内での人員倍増」と「東京に大規模なサポートセンターを開設する」ことの2点だ。

人員に関しては、現在の100名規模から200名規模への倍増が計画されている。また、サポートセンターは世界的にもユニークな取り組みとなるもので、"ミッション・クリティカル"、"ビジネス・クリティカル"なシステムを運用するユーザーを対象としたサポート体制を強化する計画だ。この背景には、「LinuxがUNIXを全面的に置き換えていく」という認識があり、現在商用UNIXベースで運用されているミッション・クリティカル・システム/ビジネス・クリティカル・システムが今後Linuxベースに切り替わっていくことを睨んだ対応となる。

同氏は「Red Hatは変わった。Red HatはずっとLinuxのリーダーだったが、今後はミドルウェア、仮想化、SaaS、クラウド・コンピューティングといった分野でもリーダーとなる」とした。

レッドハット 代表取締役社長 廣川裕司氏

つづいて、日本法人の代表取締役社長の廣川裕司氏が日本国内での状況について説明を行なった。同日付でレッドハットは、ソフトバンクBBおよびダイワボウ情報システムとソフトウェア販売契約を締結したことを発表した。両社は"ディストリビューション・パートナー"と位置づけられ、国内でのマスター・ディストリビューターとなる。従来から同様の契約を締結していたサイオステクノロジーと合わせ、同社のディストリビューション・パートナーは3社となる。

廣川氏は、今後注力していく国内市場として、「OS市場」(700億円規模)、「ミドルウェア市場」(400~500億円規模)、「ソリューション・プラットフォーム市場」(500億円規模)の3つを挙げ、計1,700億円規模の市場に向けて製品やサービスを提供していくとした。同氏はIDCが発表したOSの市場予測データを紹介し、「2007年の段階でLinux OS市場は約80億円の規模で、レッドハットはそのうちの83%のシェアを獲得していた。この実績値が出発点だ。今後の予測では、2009年にはLinuxはOS市場でUNIXの市場規模を上回り、2010年にはメインフレームの規模も抜き、2011年にはITシステムの中心的な存在になると予測されている」とし、継続的に高い成長率を維持していくことについて自信を見せた。

Linuxは年率14.7%で成長し、来年/再来年にUNIX/メインフレーム市場を上回ると予測

同氏は、「向こう3年間で業容・事業規模倍増を図る」ことに加え、「市場で最も影響力のあるオープンソース・ソフトウェア会社の位置を堅持」「日本市場で最速成長のソフトウェア会社を目指す」「ミドルウェア・SOAのリーダー的会社と位置づけられることを目指す」といった目標を掲げている。

レッドハットのビジョン