調査会社の米ABI Researchは9月17日(現地時間)、無線ネットワークインフラ機器市場のベンダー動向調査を発表した。トップはスウェーデンEricssonが堅守しているが、中国Huaweiが巨大な中国市場を背景に、仏Alcatel-Lucentから3位の座を奪う勢いで成長しているという。

2008年第1四半期(1月-3月期)、無線ネットワークインフラ機器のベンダー別シェアは、Ericssonが29%でトップ、2位はフィンランドNokia Siemens Networksの23%、3位はAlcatel-Lucentの13%だった。

同社アナリストは、「注目はHuawei」と述べる。同社は6四半期連続でシェアを増加させており、3位のAlcatel-Lucentに追いつく勢いだという。

Huaweiは巨大な中国市場を本拠地に持つだけでなく、安価な製品ソリューションを背景にインドやアフリカ、さらには欧州などにも積極的に進出している。ABI Researchによると、市場のけん引役である中国では、トップ3社が今後3年間で合計800億ドルを投資してインフラを構築する計画であり、Huaweiはここ3-5年で大きくリードするだろうと述べている。

ネットワークインフラ市場はここ数年、通信バブル崩壊を受けた統合の流れにあり、Ericssonは小型企業を買収、仏Alcatelと米Lucent、フィンランドNokiaとドイツSiemensは合弁企業を立ち上げというそれぞれの戦略で、生き残りをかけて戦っている。

このように、大手が再編の波に追われる中、Huaweiは確実にシェアを伸ばしてきた。さらには、このところのAlcatel-Lucentの不調も後押しした。Alcatel-Lucentは2008年前期、北米での大手顧客である米Sprintと米Verizon WirelessがEV-DO Rev Aの実装を終えたこともあり、2007年後期比63%減と苦戦している。

ABIは18日、無線ネットワークインフラ機器の動向予測も発表している。それによると、2008年、無線アクセスネットワークインフラ機器への支出は前年同期比3.4%増にとどまり、総額539億ドルの見込みという。基地局の数は、2007年の320万台から2013年には520台と予想している。

トレンドとしては、米Appleの「iPhone」、Nokiaの「Nokia E71」、カナダResearch In Motionの「Bold」などのインターネット対応を強化した端末により、Webと電子メールのトラフィックが増加するだろうという。オペレータは、3.5Gへの移行を進めながら、LTEやWiMAXなどの4G技術も見据えて展開しており、運用コストを削減しつつ高速通信技術による競争力強化を図ろうとしている、とまとめている。