米Freescale Semiconductorの日本法人であるフリースケール・セミコンダクタ・ジャパンは9月10日、同社のプライベートショー「Freescale Technology Forum Japan 2008(FTF Japan 2008)」を開催した。プレス向けセッションでは、自動車のエアバッグシステム用バスインタフェースデバイスや加速度センサなどの紹介が行われた後のセッションで、i.MXに関するロードマップが提示された。

i.MXのロードマップは、大原氏によるFTF 2008 Americaのレポートでも提示されているので、詳細はそちらも参照していただければと思う。

フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン プロダクト・マーケティング本部 ネットワーキング&マルチメディアグループ 大林久高氏

「i.MXはさまざまなマーケットを対象としているが、メインの市場としては3つあり、携帯電話が筆頭に挙げられる」(フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン プロダクト・マーケティング本部 ネットワーキング&マルチメディアグループ 大林久高氏)という。確かに携帯電話はワールドワイドで見れば、2010年までに加入者は40億人に達すると予測されており、Freescaleも1番に意識するのは理解できる。

次いで挙げられたのは「Mobile Multimedia」の分野。PMP(Portable Media Player)やPND(Personal Navigation Devices)などの機器が2010年-2012年にかけて伸びていくことが期待されており、特にPMPに関しては2010年には年間2億台の出荷が見込める市場に成長することが期待されている。

3つ目は、日本と世界でいささか状況が違うが「Auto Infotainment」の分野。米国では、日本のような色々な機能を詰め合わせたカーナビゲーションシステムではなく、ディスプレイ単体で、USBなどにPMPなどを接続して使用することが想定されている。これに関連して、同日、同社は「i.MX31C」の「Windows Automotive 5.5対応ボード・サポート・パッケージ(BSP)」を発表している。Windows Automotive 5.5 BSPを用いることで、車載情報機器メーカーは、HMI(Human Machine Interface)に優れた車載情報機器の開発が容易になるという。

いずれにせよ、マルチメディア的な使用が想定される場所であれば、どこでも適用できるのがi.MXの特徴といったことが強調された。

ロードマップそのものは、3つのセグメントに分かれており、これはFTF 2008 Americaの際に提示されたものと基本的には変わらない。若干変更があったとすれば、"Industrial"の下にあった"General Embedded"が消された程度だが、これは「企業として決して"General Embedded"を軽んじているわけではなく、むしろGeneral Embeddedを含んだ形でIndustrialをターゲットにしている」(同)ということだ(事実、同社では"Priamry Application"として"Media Players"や"Navigation Devices"などと並び"General Embedded"を提示している)。

FTF Japan 2008で提示されたi.MXのロードマップ(FTF 2008 America)のものと比べると微妙な変更がなされている)

肝心のロードマップ中身だが、これは微妙に各製品のポジションなどが変更されていたりすることが分かる。例えばi.MXLはPDA用途がメインだったわけだが、General Embeddedを消したために"Mobile Consumer"に移らされたものと思われる。各製品の詳細は省くが、Mobile Consumer分野の次世代製品としては、ARMの「Cortex-A8」を搭載したものが検討されており、1年以内の製品発表を予定していることが明らかにされた。

Auto Infotainment分野は、i.MX31の車載向け認証品としてi.MX31Cがあるが、今後もi.MXシリーズとしてAEC(Automotive electronics council:自動車向け電子部品評議会)の規格「AEC-Q100」に対応した製品ラインナップの拡充を図っていくとした。

一方、Industrial分野は、基本的にMobile Consumerで使用されたものを持ってくるといった感じだが、「今後、Industrialの中でもホスト端末やセキュリティ関係に対応していくために、次世代品としては、それらに対応した製品を提供していく予定」(同)と独自色のある製品を開発しているとした。