ビジネス誌「The Economist」を発行する英Economist Groupは16日(現地時間)、年次IT競争力ランキング「2008 IT industry Competitiveness Index」を発表した。トップは昨年に続き米国となったが、日本は昨年2位から12位に急落、韓国も3位から8位に急落するなど、今年は上位の順位が大きく動いた。

このランキングは、Economist Groupの調査部門であるEconomist Intelligence Unit(EIU)が世界66カ国のIT競争力を調べ、順位をつけたもの。ソフトウェア業界団体Business Software Alliance(BSA)が出資している。

EIUでは、IT競争力を測定するにあたり、ビジネス環境(10%)、ITインフラ(20%)、人的リソース(20%)、法的基盤(10%)、研究開発環境(25%)、IT産業開発支援(15%)の6つのカテゴリ・25の指標を用いた。

首位は、100点満点中74.6点を獲得した米国。前回から王座を維持した。2位は台湾で、前年6位から上昇、3位英国も前年4位から順位を上げた。4位はスウェーデンで前年7位からランクを上げ、5位のデンマークも前年8位からランクを上げた。このように、台湾、スウェーデン、デンマークの3カ国がトップ5に入ったのに対し、前年2位の日本は12位に、前年3位の韓国は8位に、前年5位のオーストラリアは7位に順位を下げた。

日本と韓国の順位変動については、特許の計算方法が変更(経済全体をカバーする特許からITに関連すると思われるものに限定する、など)されたことが大きく影響したという。台湾の2位上昇については、特許を含め研究開発分野が大きく評価されたようだ。

米国は、才能開発など人材に投資する人的リソースをはじめ、オープン性、法的基盤などで高く評価された。日本は、研究開発環境で台湾、韓国に次いで3位となったが、ITインフラで12位、オープン性と政府サポートではトップ20からもれるなど苦戦した。

EIUの世界経済研究担当ディレクター、Denis McCauley氏は、「政府やビジネス界のリーダーは、競争力のあるIT業界を実現するためにさまざまな要因に対応していく必要がある」と述べている。BSAでは、ITにより雇用を促進し、生活の質を改善するためには、6つのカテゴリをそれぞれに強化していく必要があると述べている。