工業微生物を使ったグリーンクルード(Grenn Crude)を開発するSapphire Energyは9月17日(米国時間)、シリーズB投資ラウンドを経て、これまでに1億ドル以上を調達したことを発表した。その中で、Bill Gates氏の個人投資会社であるCascade Investmentからの支援を明らかにしている。
Sapphire Energyは、日光と二酸化炭素、藻類などを用いて工業微生物からオイルを産出するプロセスを開発している。耕作地や飲用水準の水などは必要なく、生産プラントを簡単かつ経済的に拡大できる。食用になる材料を一切使用しないため、食糧品市場を混乱させる心配もない。生産されたオイルは現在先物市場で取引されている軽質スイート原油と同じように、ガソリンやジェット燃料、ディーゼル燃料などに精製可能だという。グリーンクルードも燃焼した場合、既存の燃料と同様に二酸化炭素を出すが、生産の際の光合成プロセスで二酸化炭素が利用されるため、二酸化炭素の排出量削減につながるとSapphire Energyは主張する。「われわれは理想の燃料とはどのようなものかと考え、カーボンニュートラル、再利用、特定条件や地域への非依存などを実現するという視点からSapphire Energyに取り組んでいる」とCEOのJason Pyleは説明する。
Sapphire Energyは今年5月にASTMに準拠したオクタン価91のガソリン精製の成功を明らかにした。ニューメキシコ州に研究施設を設立、次のステップは1日1万バレルを目標にした生産プラントの開設で、シリーズB投資ラウンドまでの調達で十分に実現できる見通しを明らかにしている。
Gates氏が資金を提供するCascade Investmentはクリーンエネルギー技術の支援に積極的だ。2006年にはトウモロコシを原料にエタノールを生産するPacific Ethanolの工場建設に出資した。その後エタノールは食糧価格高騰の一因になるほど注目され、Thomson FinancialによるとCascadeは今年前半に所有していたPacific株を売却している。Cascade以外のSapphire Energyへの投資会社には、ARCH Venture Partners、Wellcome Trust、Venrockなどが含まれる。