韓国でRFID関連技術に関する特許出願が急速に増加している。
2005年以降、特許出願が急増
韓国政府の特許庁によると、2001年には70件だったRFIDの特許出願が、2006年には1003件、2007年には1201件と増えているという。
内容を見ると、「運用システム」が全体の69%ともっとも多く、続いて「チップ・タグ」(14%)、「ミドルウェア」(7%)という順になっている。また、もっとも出願数の増加幅が多かったのはチップ・タグで、2003年には15件にとどまっていたものが、2007年には138件と大幅に増加している。
一方、国内(韓国の企業や機関)/国外(外国の企業や機関)別に出願数を見てみると、2005年以降、韓国人による出願数が右肩上がりで大きく伸びていることが分かる。とくに2007年には1000件を超え、大台に乗っている。
さらに、出願者を見てみると、国立の研究所である韓国電子通信研究院(ETRI)がもっとも多い293件を占めていた。その後にSamsung電子、SK Telecomといった大企業が続いている。10位圏内には、富士通や日立といった日本勢の名も挙がっている。
実社会での活用事例も
RFIDは、韓国が目指しているユビキタス社会の構築には欠かすことのできない技術である。これまでにも何度か試験サービスが行われているほか、すでに実社会で活用されているものもある。
たとえばソウル市などが推進している「乗用車曜日制」。これは月曜から金曜の1日だけ、自動車に乗らない曜日を決め、RFIDで管理するというシステムだ。この制度に参加したドライバーにはRDIDタグが発行され、これを自動車につけることで指定日の乗車有無が随時確認される。もし指定した日に車に乗った場合は、乗用車曜日制の恩恵として提供される自動車税5%減免などを受けられなくなる。渋滞が慢性的な問題となっている韓国において、これをある程度緩和する制度として期待されている。
急成長する市場でさらなる努力を喚起
このように実社会での運用も始まり、RFIDの特許申請数を急激に伸ばしている韓国だが、特許庁では現状に満足せず、「素早い成長が見込まれるRFID産業において、核心技術を確保し、市場をリードする努力が切実に望まれる」と、さらなる活性化を喚起している。政府が要求している水準はあくまで高いようだ。
特許庁によると、英国の調査会社であるIDTech Exは、RFID市場の規模が2006年の27億7000万米ドル(約2935億6500万円/1円=105.980ドル)から、2018年には約270億米ドル(約2兆8614億6000万円)へと成長、1年に平均21%ずつ拡大すると分析しているという。こうした市場の先頭に立つことを狙う韓国では、今から緊張感を持って技術開発にあたっているようだ。