韓国のSamsung Electronicsは9月17日(現地時間)、米SanDiskに対して1株あたり26ドルでの買収提案を行ったと発表した。買収総額は約58億5000万ドルとなり、全額キャッシュでの支払いを想定している。以前よりSanDisk買収に興味を示していた同社は声明の中で、4ヶ月に上る2社間での協議内容に失望しているとコメントしており、今回の発表は事実上の敵対的買収宣言になる。同じくSanDisk買収に興味を示していると噂される東芝との競合が発生することも考えられ、しばらく混乱が続くことになりそうだ。
コンシューマ向け電気製品やPCの需要増もあり、フラッシュメモリに代表されるSamsungのメモリ事業は同社の大きな柱となりつつある。その中でSanDiskはSamsungのNANDフラッシュを携帯オーディオプレイヤーやメモリカードなどで使用する、同社の最大顧客の1つである。だが同時にSanDiskはフラッシュメモリに関する多数の特許を保有しており、Samsungはこれら特許に対して毎年数百万ドル単位の使用料を支払っているといわれている。今回の提案はSanDiskの買収でこれら特許を獲得し、他社との競争を優位に進めることで、フラッシュメモリを本当の意味で同社の主力事業に据える点にある。
SanDiskの株価は16日(米国時間)の終値で15.04ドル。Samsungは26ドルという提示額について、9月4日の終値の13.46ドルに93%のプレミアを加えたものだと説明する。なお9月4日のSanDiskの株価は、ここ最近の金融市場の混乱により、同社株価が最も下落したタイミングのものだ。米Wall Street Journal紙はSanDisk側のコメントとして「Samsungの提案はSanDisk本来の価値を著しく損なうもの」と返答しており、これがSamsung側の提案を拒絶した理由だと説明する。なお、SanDisk株価は16日の時間外取引で50%以上上昇し、23ドル前後の水準となっている。
フラッシュメモリの分野でSamsungと競合関係にある東芝は、9月16日(現地時間)に横浜で開催した記者説明会の中で執行役上席常務 斎藤昇三氏がSanDisk買収への関心を明らかにした。Samsungの買収への動きを牽制した形だが、今回Samsungが本格的に動き出したことで、東芝側も何らかのアクションを繰り出す可能性が高まってきた。