富士通は、1993年に航空宇宙技術研究所(NAL)と共同開発した数値風洞システム(Numerical Wind Tunnel:NWT)ならびに富士通製ベクトル型スーパーコンピュータ「VPPシリーズ(VPP500、VPP300/700、VPP5000)」用に開発したプロセッサなどのコンポーネントを、米カリフォルニア州Mountain ViewにあるComputer History Museum(コンピュータ歴史博物館)に寄贈することを発表した。
今回富士通は、元NALの研究者と共同でNAL-NWTならびにVPPシリーズのプロセッシングエレメント、クロスバーボードなどの主要パーツを寄贈する。これは、日本のスーパーコンピュータとしては初めてのものとなるという。
NWTは1993年2月1日に稼働を開始、同年11月のスーパーコンピュータトップ500ランキングで日本勢としては初めて1位と獲得したほか、翌1994年、1995年、1996年の並列処理計算機を実用的な科学技術計算に応用し、その年に最高の成果をあげたプロジェクトおよびそのメンバーに与えられる「ゴードン・ベル賞」を受賞している。
100万格子点の計算を10分で行うことを目指し、前世代のVP400の100倍以上の実行性能を目標に開発されたNWTは、ベクトル型スーパーコンピュータをクロスバー・スイッチで結合する分散主記憶型並列ベクトルコンピュータ方式を採用しており、導入後9年間使用された実績を持つ。
なお、同寄贈に際し、同博物館のCEOであるJohn Hollar氏は「富士通がこのように重要な寄贈をしたことに大変感激している。世界のコンピュータ遺産の最大のコレクションの本場として、我々は富士通と日本の産業界・利用者コミュニティの挑戦の証をいただき、大変感動している」とコメントしている。