EMCジャパン 代表取締役社長 諸星俊男氏 |
EMCジャパンは11日、温室効果ガス排出権を製品に割り当てたレンタルサービス「EMCエコ・レンタル」を開始することを発表した。今後、EMCストレージのレンタルサービスを利用する顧客は、当該製品の使用に伴って排出が予想されるCO2量に見合った「認定排出権(CER)」を割り当てられることになる。IT業界としては初の試みで、「EMCグループとしても日本が最初」(EMCジャパン 代表取締役社長 諸星俊男氏)というユニークなプログラム。ストレージの階層化や統合、省電力ドライブの採用などで、ここ最近"エコ・ストレージ"のイメージを強く押し出してきた同社だが、今回は「あくまで顧客の環境保護活動を支援するのがメイン」(諸星氏)としており、当面は同サービス提供による追加料金の課金などは行わない方針だ。
EMCエコ・レンタルは、三井住友ファイナンシャル&リースとEMCジャパンのグローバル・フィナンシャル・サービス部による協業。三井住友ファイナンシャル&リースは昨年、業界に先駆けて排出権付きリースサービス「カーボンニュートラル」をデリバリしており、この分野の先駆け的存在でもある。三井住友ファイナンシャル&リリース 取締役専務執行役員 小寺徳久氏は「意外に聞こえるかもしれないが、IT業界の企業がこの類のサービスを始めるのはEMCジャパンがはじめて。日本企業のエネルギーコストを削減し、エコビジネスを推進していきたいという当社の目標とEMCのそれが1つに重なって生まれた協業」と、両者のシナジー効果を語る。
EMCジャパン グローバル・フィナンシャル・サービス部は同社におけるるリース/レンタル専門の担当部署。現在、同社におけるストレージビジネスの約半数がリース/レンタル案件だという。同部署を通じて新規にレンタル契約を結ぶ顧客は、「EMC Power Calculator」というソフトウェアによって算出された2012年まで(京都議定書第1約束期間)の見込みCO2排出量の数値を三井住友ファイナンシャル&リリースに提出する。その後、三井住友ファイナンシャル&リリースが保有するCER(国連が認めた認証排出権)が当該物件に割り当てられ、同社より顧客宛証明書が発行される。顧客はこれにより、EMC製品に排出権が割り当てられ、その使用に伴う温室効果ガスのオフセットが可能になる。
三井住友ファイナンシャル&リリース 取締役専務執行役員 小寺徳久氏 |
EMCジャパン グローバル・フィナンシャル・サービス部 部長の小川哲也氏 |
EMCジャパン グローバル・フィナンシャル・サービス部 部長の小川哲也氏は、同サービスによる顧客のメリットとして、「環境への貢献アピール」「小口排出権の取得」「排出権取得時の手続きの省略」を挙げる。「京都議定書の第1次実行期間が始まり、各企業とも省エネの取り組み以外に、残りのCO2排出分をオフセットすることを求められる」(小川氏)という現在、IT機器レンタルでオフセットが可能になる同サービスが市場からどう受け止められるか、興味深いところだ。