中小企業庁は、中小企業に対する資金繰り対策の拡充や下請事業者保護の強化などの緊急対策を発表した。これは8月29日に政府・与党会議と経済対策閣僚会議合同会議が決定した「安心実現のための緊急総合対策」に基づくものであり、資金繰り対策の拡充と下請事業者保護の強化が2本の柱となっている。
資金繰り対策の拡充は、新たな保証制度である「原材料価格高騰対応等緊急保証」の導入、セーフティネット貸付の強化、政府系金融機関への要請の3点が主眼だ。
新たな保証制度は、原油以外にも原材料価格や仕入れ価格が上がっているにも関わらず、値上げできない業種で広く利用できるという。
セーフティネット貸付の強化では、中小企業金融公庫や国民生活金融公庫、商工組合中央金庫など政府系金融機関による貸付を拡大する。業種指定要件は無い。政府系金融機関への要請では、返済猶予への対応などに関する配慮を要請する。
下請事業者保護の強化は、下請代金法の運用強化、下請事業者の相談体制の拡充、下請適正取引ガイドラインのフォローアップの実施、「下請保護情報ネットワーク(仮称)」の構築の4点からなる。
下請代金法の運用強化では、原油・原材料価格高騰時における買い叩きの具体的内容を明示した大臣通達文書を、8月29日に約600の事業者団体などに発するとともに、親事業者に対する特別事情聴取・特別立入検査を実施している。
下請事業者の相談体制の拡充では、中小企業の利便性を考慮して全国9カ所の経済産業局および下請かけこみ寺本部において下請取引に関する相談延滞等を10月3日まで実施する。また今後、47都道府県に設置した下請かけこみ寺に、取引に関する法律に知見のある弁護士を配置する。詳細は中小企業庁の「もっと便利に下請相談(PDF)」を参照のこと。
下請適正取引ガイドラインに関しては、下請適正取引などの推進のためのガイドラインについて活用状況などについての調査、ガイドラインの改定、今後のアクションプランの作成などを実施する。また対象業種の業界団体に対して内容を周知徹底するためのトップレベルの会合を開催する。
下請保護情報ネットワーク(仮称)の構築は、下請事業者の保護のための関係行政機関間の連携強化を図っていくものだ。