エルピーダメモリは9日、都内でアナリスト向けの説明会を開催した。同説明会は、同社の株価が9月に入って年初来安値を更新したことなどに対する投資家からの質問に答えるためのもの。

1GビットのDDR2 SDRAM(667Mbps)のスポット価格は、直近でピークとなる6月頃と比べ、9月初頭で約20~25%下がっているという。このため、同社の2008年度第2四半期(7-9月期)の業績は売上高が前四半期ほぼ横ばい、営業損益が前四半期と同水準もしくは悪化する可能性もあるとした。

DRAMスポット価格の推移

しかし、競合のメモリメーカー各社も今年に入ってから営業損失を計上、損失額もエルピーダに比べ大きいところが多いことから、「競合各社はエルピーダ以上に追い込まれている。当社は競合と比べ早く改善できると考えている」(同社執行役員CFO 萩原俊明氏)とした。

DRAMメーカー各社の営業利益率(2007年後半から軒並み損失を計上している)

また、同社代表取締役社長兼CEOの坂本幸雄氏は、長引くDRAM不況について「今まで2年以上DRAM市場の不況が続いたことはめったにない。この1年間、DRAMメーカー各社ともに新規投資を行ってこなかった一方、需要は若干上向きになってきており、年末にかけて大きな変化が訪れ、2009年には市場が回復すると希望的観測を持っている」とした。

こうしたDRAM不況に対し同社では、DRAM中心のビジネスにファウンドリを加えることで、経営の安定化を図ろうとしている。DRAM以外のフラッシュメモリ、DRAM like製品(CCD/CMOSイメージャ)とDRAMを組み合わせた「メモリ事業」を立ち上げるほか、ロジック製品(Advanced logic)の生産も手がける計画。

Advanced logicに関しては、「エルピーダがやるなら、仕事を出したいとしている会社が相当数存在する」(前出の坂本氏)としているが、「メモリ事業を先行させ、余力が生まれた段階でロジックをやるのが良いか、それとも別の方策があるのかについては、まだ判断しきれていない」(同)とし、慎重に見極めていくとした。

また、次世代プロセスとなる5Xnmの状況については、54nm Cuプロセスを採用した1GビットのDDR3のサンプル出荷を2008年11月より開始、少量生産を2009年第1四半期、大量生産を同第2四半期より開始するとした。

同社の量産品で最も微細な65nmプロセスで用いられている装置の大半は54nmプロセスへの転用が可能なものであり、スケジュールに併せて広島工場がモバイルDRAMから転換を開始するほか、合弁会社のRexchip Electronicsの生産能力8万枚/月の内の4万枚を2009年第1四半期より54nmへ転換する。また、現在、設立を進めている中国のジョイントベンチャーのFabについても2010年第1四半期に予定している月産4万枚に54nmプロセスを採用するとした。

なお、54nmプロセスで新規に導入されるArF液浸リソグラフィ装置に関しては、「9月末までにASMLかニコンかに決定する」(同)とした。