DVDをそっくりコピーするソフトが販売されるという話を聞いて「何をいまさら」と思う人も多いだろう。だがそれが大手ソフトメーカーの製品なら話は別だ。米RealNetworksは9月8日(現地時間)、米カリフォルニア州サンディエゴで開催される「DEMOfall 08」において「RealDVD」を発表する計画だ。米New York Times紙をはじめ、複数のメディアが報じている。

DEMOでは今年もさまざまな新製品やサービスが紹介される見込みだが、RealDVDはその目玉のひとつとなりそうだ。事実上のコピーフリーだったCDに対し、ハリウッドなどの映画産業の働きかけもあり、DVDにはCSSと呼ばれるコピーガード機能が実装されている。だが発売後わずか数年の1999年にノルウェーの少年によってCSSのアルゴリズムを解析されてしまい、それをきっかけにフリーのDVDプレイヤーやコピーソフトが出回るようになった。AnyDVDなど、現在店頭で販売されているようなDVDコピーソフトはこうしたCSSの解除技術を基にしている。

だがこうした技術を用いたコピー行為が違法またはグレーであるのは確かだ。過去何度にもわたって訴訟の火種となっており、現在もなお進行中である。今回のRealDVDは、DVD内の映像コンテンツ(DVD-Video)のコピーをPCのストレージ上に作成する製品で、DVDなしでもどこでもコンテンツを楽しめることを目的にしたものだ。前述のソフトのようなコピーガードの解除は行わず、「あくまで合法の範囲内でユーザーの利便性を高めるもの」だとRealNetworksでは説明する。価格はダウンロード版が29.99ドル、パッケージ版が49.99ドルで、Real.comまたはAmazon.comを介して販売が行われる。

今回の製品リリースは、同様の技術を用いた製品の販売に関する訴訟でCSSのライセンスを行うDVD Copy Control Association(CCA)が敗れたことを受けたものだという説もある。DVD CCAは4年前に、米Kaleidescapeというスタートアップ企業をライセンス違反で訴えている。Kaleidescapeは500枚のDVDを内蔵ストレージにため込める1万ドルのハードウェアを販売していたが、これがDVD CCAのライセンス規約に違反しているという主張だ。だが2007年3月にKaleidescapeに軍配を上げる判決が出されており、DVD CCAの事実上の敗訴となった。こうした前例をもって、RealNetworksではグレーゾーンの可能性を秘めたRealDVDの販売に踏み切ったのかもしれない。