日産自動車は、SiC(シリコンカーバイド)素子を採用した車両用インバータを開発し、燃料電池車「X-TRAIL FCV」で走行実験を開始したことを発表した。
今回開発されたインバータは、ダイオードの材料にSiCを使用、独自開発による「ヘテロジャンクションダイオード」を採用することで、将来的なインバータの小型軽量化と高信頼性が実現できるという。
チップサイズは5mm×5mmで、従来のSiを用いたダイオードと比較し、ダイオードの占める面積を70%削減しつつ、インバータ回路のエネルギー効率を20%改善することに成功している。また、耐熱性の向上により、冷却装置の簡略化が可能なため、インバータを従来品比で15~20%小型軽量化することが可能となる。
同社では、SiCダイオードをX-TRAIL FCV以外にも開発を進めている電気自動車やハイブリッド車に搭載することが可能であるとしており、インバータをモータやバッテリと並ぶ電動車両開発の基幹となる要素技術と位置づけ開発を進め、インバータに用いられるトランジスタにもSiC素子を適用し、さらなる小型化を目指す計画だ。