全米広告主協会(ANA: Association of National Advertisers)は7日(現地時間)、GoogleとYahoo!が以前に発表した検索広告での提携に反対する書面を米司法省(DOJ: Department of Justice)に宛てて送付したと発表した。両社の提携に反対する理由として、提携が市場競争を阻害することで選択の余地を減らし、それが結果として広告費の引き上げへとつながるとANAでは説明する。現在DOJでは独占禁止法の観点からGoogle-Yahoo!の提携についての調査を行っている段階で、全米広告業界でも最も権威のある団体からの反対意見表明は今後のDOJの判断に大きな影響を与えることになりそうだ。

ANAは設立から100年近い歴史を誇る、広告業界でも最も有力な団体の1つ。同団体のバックには米General Motors(GM)など業界大手企業が多数名を連ねている。ANAによれば、GoogleやYahoo!との意見交換を含む独自の分析を行った結果、今回のDOJへの反対意見表明につながったと説明する。Google-Yahoo!の提携は検索広告市場の90%のシェアを獲得するものとなり、それが結果として前述のような弊害をもたらすことにつながる危険性をはらんでいるというのがその主張だ。

今年6月、Microsoftからの買収提案に抵抗するYahoo!は、起死回生の策としてGoogleとの検索広告分野での提携を発表した。その内容はGoogleの検索広告システムをYahoo!が導入するというもので、Yahoo!はGoogleからの提携の見返りを受けることに加え、ネット広告分野でのシェア拡大を図るMicrosoftの目論見そのものを崩すメリットが期待できるものだった。だがYahoo!買収の意義がなくなるMicrosoftだけでなく、Googleの同分野での圧倒的シェア獲得を許すこの提携には各方面から反対意見や懸念表明が相次いでおり、DOJもすぐさま調査に乗り出す事態となった。実際、この提携が認められる可能性は低いという見方が強く、ANAの反対意見表明はこれを後押しするものとなる。