通信機器メーカー大手の仏Alcatel-Lucentは2日(現地時間)、同社新会長ならびに新CEOに関する人事を発表した。執行権のない会長にはPhilippe Camus氏を、CEOにはBen Verwaayen氏が指名されている。どちらも10月1日より同役へと就任し、Verwaayen氏は同時に同社ボードメンバーへと参加することになる。Alcatel-Lucentは7月29日、6四半期連続の赤字計上の業績低迷の責任を取る形で現職会長ならびにCEOが辞任を表明しており、適任者の人選開始を発表していた。

Philippe Camus氏はフランス国籍を持ち、米国に居住しながら投資会社の米Evercore Partners、国際メディアグループのLagardereなどの運営にあたっている。また過去には仏Airbusの親会社であるEADS(European Aeronautic Defense and Space Company)の共同CEOの1人だった経歴を持つ、さまざまな業界を渡り歩いてきたベテラン経営者だ。一方のBen Verwaayen氏はオランダ出身で、特に通信とIT業界での経験が深い人物。2002年から今年夏まで英BTのCEOを勤めており、Alcatelとの合併以前の米Lucent Technologiesでは副会長に就任していた。それ以前にもAlcatelの前身にあたるITTに勤めた経歴があるなど、長年にわたってさまざまな通信系企業での経営に従事してきている。

現職の会長であるSerge Tchuruk氏とCEOのPatricia Russo氏は、それぞれAlcatelとLucentの出身で、数々の苦難の乗り越えながら両社の合併を主導してきた。その目的は通信業界が低迷するなか、経営効率化で業界再編の波を乗り切ることだった。赤字続きながらも業績は改善しつつあり、当初の目的はほぼ達成しつつあるといえるだろう。今後のリーダーに求められるのはむしろスケールメリットを活かした攻めの戦略であり、そうした意味でCamus氏とVerwaayen氏にこれまでの経験と手腕を活かした新たな期待が寄せられる。