日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)はこのほど、情報セキュリティ政策や防災通信で協力するなどとした、情報通信分野での共同作業計画に初めて合意した。8月29日にインドネシア・バリ島で開かれた日本とASEAN加盟10カ国による情報通信大臣会合で総務省の増田寛也大臣が提案、採択された。

増田大臣が提案し採択されたのは、「日本とASEANの情報通信分野における作業計画 2008-2009」。今後1年間に実施する日本のASEANに対する情報通信分野における協力施策を包括的に記載したもので、2007年の日本とASEAN情報通信大臣会合で策定作業開始に合意して以来、1年間かけて日本とASEANの間で精査してきた。

採択された作業計画の主な内容は、IPv6技術者育成の支援や、防災通信や情報セキュリティ政策に関する会合の開催など。

IPv6技術者育成の支援では、ASEAN諸国を対象としたIPv6に関する技術者育成研修に専門家を派遣。防災通信に関する会合は、「アジア地域において自然災害が多発している状況を考慮し、災害時の連絡・二次災害の予防などに役立つ通信技術の活用について議論を行う」(総務省)としており、9月末にフィリピンで開催する予定となっている。

情報セキュリティ政策に関する会合は、情報セキュリティの確保されたビジネス環境をASEANで構築することを目的とするもので、来年2月をめどに日本で開催する。

そのほか、次世代IPネットワーク、多言語翻訳技術、電気通信政策などにおける人材育成協力なども盛り込まれている。

総務省では、「作業計画は毎年、日本とASEANの情報通信大臣会合で更新していく予定」としており、情報通信分野での日本とASEANの連携が一層深まることが期待される。