FLOSSプロジェクトで採用されるライセンスで代表的なもののひとつにGPLがある。GPLv3が発表されたことで現在ではGPLv2とGPLv3という2種類のバージョンが使われる状況にある。Sun MicrosystemsがJavaをGPLv2(注意: ただしGNU Classpathと同様の例外条項付き)のもとで公開するなど企業におけるライセンスとして採用されることもある。

GPLv2やGPLv3は採用されることの多いライセンスだが、遵守違反が発生しやすいライセンスでもある。故意に違反することもあるようだが、多くの場合はGPLに対する理解不足や、そもそもプロダクトにGPLのソースコードが使われていることが一部の開発者しか知らないために発生した問題であったりと、工夫次第では最小限の努力で回避できる問題であることが多いようだ。

FOSSプロダクトの重要性が増しつづけている現状では、こうしたライセンスのプロダクトはうまく活用していきたい。そこでSoftware Freedom Law Centerが公開をはじめたガイドラインドキュメントA Practical Guide to GPL Complianceに注目したい。これはGPLやLGPLに遵守するためのプラクティスをまとめたもので、どのようにすれば違反することなく活用できるかがまとめられている。

Software Freedom Law Centerは米国を拠点として設立された非営利団体。FOSSコミュニティに対して財産管理、ライセンシング、ライセンス弁護および訴訟対策、非営利組織支援、法律コンサルティングおよび弁護士訓練の分野において法的なサービスを提供することを目的としている。

FOSSプロジェクトでは個人やまたは少数のチームによってプロダクト開発が進められることも多いが、こういった組織は特許や法的な問題で訴訟を受ける可能性がある。Software Freedom Law Centerはそうした法的な問題を引き受ける非営利団体として機能することを目的として設立された組織で、FOSSプロジェクトの法律管理部門として機能し対法人のやりとりを肩代わりしたり、開発支援や啓蒙、教育支援などを実施している。

A Practical Guide to GPL ComplianceはGPLやLGPLで開発されたプロダクトを活用する場合には一度検討しておきたいドキュメントだ。Software Freedom Law Centerは同ドキュメント以外にもPublicationsにおいて作業を通じて得られた法的な問題の分析結果が報告されている。FOSSプロダクトの活用を検討している場合には一度チェックしておきたい。