デルは9月1日付けで、東京都港区に東日本支社を新設した。施設内には、同時にソリューション・イノベーション・センターおよび法人向けクライアント製品の展示スペースも設置される。デルは2月に初の国内支社となる西日本支社を開設しており、東日本支社はこれに続く2つめの国内支社となる。

デルの本社は神奈川県川崎市にある。都心部からのアクセスは悪くないが、時間がかかるのは確かだ。同社の顧客は都内を拠点としている企業が圧倒的に多く、従来はデモンストレーション等を行うのに川崎まで出向かなければならないなど、顧客にとって不都合があった。

デル 執行役員 ソリューション・サービス・デリバリー本部長 ソリューション・イノベーションセンター長 諸原裕二氏

「これまで皆様とお会いするには川崎に来ていただくか、都内のホテルを利用していた。これからは東日本支社を利用することで、顧客ニーズにより迅速に対応できる」と、デル 執行役員 ソリューション・サービス・デリバリー本部長であり、ソリューション・イノベーションセンター長でもある諸原裕二氏は語る。

東日本支社はオフィススペースと、ソリューション・イノベーション・センター、エグゼクティブブリーフィングセンター、法人向けクライアント製品展示スペースで構成されている。

ソリューション・イノベーション・センターは、デモンストレーションを見るためのブリーフィングルームと、データセンターで構成される。データセンターの内部は、ブリーフィングルームに最も近い7ラックがデモンストレーション用となっており、残り21ラックが検証エリアだ。全体で約200台のサーバ/ストレージ製品が格納されている。これは、従来川崎本社に設置されていた検証用ラボを移設しただけではなく、多彩なデモンストレーションおよび検証に対応できるよう大幅に拡張された設備だ。

また、データセンター部はガラス張りで、ブリーフィングルームおよび廊下から内部を見通せるようになっているが、これによってエンタープライズ製品のショールーム的な役割も持たせているという。ブリーフィングルームからはデモンストレーションに利用している機器が直接見えるため、ハードディスクのアクセスランプなどを実際に見ながらデモンストレーションを受けることができる。また、ネットワークケーブルとFiber Channelケーブルのパッチパネル配線と、ネットワークスイッチとFiber Channelスイッチによる論理接続変更によって、都度変更される検証環境の運用効率化とラック内の美観を確保しているのも特徴だ。 「1ラックあたり1200VAの電力を確保している。小規模ながら、商用と同等の設備仕様を持つデータセンターだ」と諸原氏は語る。

デモンストレーション用機器

パッチパネル配線によって美観が確保されている

ラックは免震装置「ISO Base」を利用して設置されており、大規模な地震にも耐えうる構造となっている。電源は200Vのものが二重化されており、冷却装置は冷却効果の高い床下空調を採用し、40kwのものが3台設置されている。また、ガラス面は二重ガラスを採用したほか、制震マウントによる騒音対策を実施することで、隣接するブリーフィングルーム等への騒音影響を排除している。

ラックは免震装置上に設置。最大で白線部まで揺れる

オフィススペースは60席のフリーアドレス制となっており、利用する人員数は約160名だという。東京都内の顧客を対象とした営業活動の拠点として利用されることになる。

エグゼクティブブリーフィングセンターは10名が収容できるミーティングルーム4つで構成されているが、稼動式の間仕切りを採用していることで、最大40人収容可能となる。ここでは今後、セミナー等が開催される予定だ。法人向けクライアント製品の展示スペースでは、新旧製品の消費電力比較などができるようになる。

ノース・アジア ソリューション&アライアンス・マーケティング本部 本部長 宮元啓志氏

ソリューション・イノベーション・センターでは、各種ソリューションのデモンストレーションに加えて、社内検証作業や、顧客データを持ち込んでのテストなどにも対応する。デモンストレーションの種類は、仮想化やメッセージングなど5つのソリューションにわたって29のカテゴリがメニュー化されている。 「デルのハードウェアと各社のソフトウェアを統合化したインフラストラクチャ・ソリューションを提供する。従来は川崎でデモンストレーションを行っていたが、定型化されたメニューは少なかった。メニュー数は従来比で5倍になっている」とノース・アジア ソリューション&アライアンス・マーケティング本部の本部長である宮元啓志氏は語った。