総務省の「迷惑メールへの対応の在り方に関する研究会」は28日、あらかじめ同意した相手以外への広告・宣伝メール送信を禁止する「オプトイン方式」を導入した迷惑メール防止法の施行に向け、最終とりまとめを行った。同法を効果的に運用するための具体的な方策についてまとめたもので、同省はこれを踏まえ、省令やガイドラインの策定に入る。
迷惑メール防止法の正式名称は、「改定特定電子メール送信適正化法」。2007年7月に始まった研究会では、増加の一途をたどる悪質な広告・宣伝メールを封じ込めるためのオプトイン方式の導入などを同年12月の中間とりまとめで提案。
これを受け今年5月、オプトイン方式を目玉にした改正迷惑メール防止法が国会で成立。法人に対する罰金額を100万円以下から3,000万円以下に引き上げるなど罰則を強化。送信者情報を偽った電子メールの送信に対して、電気通信事業者がメール送信を拒否したり、依頼した「送信委託者」を立ち入り検査対象にすることができるようになった。迷惑メールの90%以上を占めるといわれる「海外発」の迷惑メールも法の規制対象とした。
今回の最終とりまとめでは、メール送信業者が受信者から同意を得る仕組みづくりや、利用者への周知啓発や相談体制、国際連携などを実行するための具体的な規定や方策を提言。
オプトイン方式の対象となる迷惑メールの範囲も規定。SNSへの招待や懸賞当選の通知、友人からのメールなどを装って、営業目的のWebサイトへ誘導しようとするメールなどを迷惑メールの対象とした。
一方、フリーメールなどに広告宣伝が付随しているケースや、金融機関で口座を開設し、継続的に金融商品を購入しているような顧客への商品案内メールなど、取引関係にある者同士で送られるケースは対象外とした。Webサイト上などでメールアドレスを公開している事業者であっても、迷惑メール受信を拒否する内容を併記してない場合は、オプトイン方式の「例外」としている。
また、改正法では事前の「同意」が大きなポイントとなるが、"なりすまし"による同意を防ぐため、事業者が送った同意の確認メールに対し、さらに受信者が指定のURLなどにアクセスするなどして初めて同意と確定する「ダブルオプトイン方式」の実施も推奨した。
総務省が大手ISP4事業者に対し実施したアンケート調査結果によると、迷惑メールの総数は依然増加傾向にあり、今年3月にこの4社が受信した電子メール約12億通のうち、約9億通が迷惑メールだったという。
第三者のパソコンにウイルスを感染させて迷惑メールを一斉送信させるなど、手口も巧妙・悪質化。改正前の迷惑メール防止法では、受信者の同意を得ていない広告・宣伝メールを送信する場合は「※未承諾広告」と表示するよう義務づけていたが、実際に同法違反で措置命令を出したのはわずか数件ということなどから、同法の形骸化が指摘されていた。
改正法や最終とりまとめには、迷惑メール撲滅へ向けこれまでにない厳しい内容が盛り込まれており、同法の"起死回生策"になるのではと期待が集まっている。同法は今年12月にも施行予定。