「分からないことがあれば、Naverで調べる」というのは、韓国においては「ググる」という言葉ほどの意味がある。Naverはそれほど韓国での利用率が高い、最大手の検索エンジンだ。
しかし、だからこそ、Naverの社会に対する影響力は大きくなり、さまざまな問題が浮上する。これまでにも「人気検索語ランキングを人為的に操作している」「ニュース記事の本文やタイトルを、Naverの一存で編集している」といった噂や報道は後を絶えず、Naverに対して責任を問う声も大きくなってきている。
そんな中、Naverを運営するNHNは「社会的責任を強化し、サービス利用者の権益を保護するため」(NHN)という理由で「Naverサービス諮問委員会(以下、諮問委員会)」を設立させた。
同社には以前から、ニュースサービスの健全な運営のための「ニュース利用者委員会」があったが、今回の諮問委員会は、このニュース利用者委員会を発展させたものだという。「ニュースだけでなく、Naverが提供する多様なサービスに対して、外部専門家による諮問や検証を通じて、利用者により客観的で透明なサービスを提供する」(Naver)ということが主目的だ。
諮問委員会は、放送や通信関連の研究を行う大学教授、市民団体幹部、弁護士、コンサルティング会社代表など、各界の専門家および一般のネティズン計15人からなっている。ネティズンはいすれも、写真や本レビューなどNaverの各サービス部門で、過去1年間にもっとも輝やかしい活動を行ったネティズンに贈られる「ネイバーフッド アワード」受賞者が選出されている。代表は高麗大学新聞放送学科のキム・ミンファン教授が選出されており、活動期間は1年間だ。
まだ本格的な活動はこれからということだが、これに先立った8月21日、諮問委員会はNHN本社で会議を開き、諮問委員会設立の趣旨を確認したほか、今後の活動方針についても議論を行った。
この論議においては、3つの活動内容が決められた。1つめは定期会議を通じた、サービスに関するイシューの点検、2つめは委員による諮問内容が含まれたコラムの掲載、3つめはサービスに対する利用者の意見収集およびモニタリング、となっている。
さらにNHNでは、諮問委員会の活動報告書や、委員たちのコラムを掲載した公式ブログの運用を開始した。ここで委員たちの活動を逐一報告するほか、ネティズンたちからの意見も取り入れるようにして、密なコミュニケーションを目指している。
Naverでは「今後諮問委員会の意見を積極的に反映し、Naverに対する利用者の信頼度をいっそう強化していきたい」と述べている。
ポータルサイトが林立する韓国において熾烈な競争を勝ち抜き、知名度や利用率を高めることに成功したNaverだが、それだけに社会的責任も年々増している。専門性が高く風通しの良い組織を構成することで、今度はサービスや運営体制の質向上による信頼度構築に力を注いでいく方針だ。