8月26日から8月29日の4日間にかけて、マイクロソフトが主催するIT技術者向けカンファレンス「Microsoft Tech・Ed 2008 Yokohama」がパシフィコ横浜で開催されている。14年目の日本開催を迎えた今回は「Be a part of the experience ~価値ある経験がここに~」をテーマに、進化し続ける同社製品や技術価値が体験できる場を目指そうというもの。ここでは初日に行われた「オープニング&キーノート」の様子を紹介しよう。
マイクロソフト 代表執行役社長 兼 マイクロソフト コーポレーション コーポレートバイスプレジデントの樋口泰行氏 |
「ITエンジニアはヒーローになる ~Dynamic ITによるITイノベーションの実現~」と題された初日の「オープニング&キーノート」では、同社の代表執行役社長 兼 マイクロソフト コーポレーション コーポレートバイスプレジデントの樋口泰行氏と、マイクロソフト コーポレーション SQL Server データベース エンジン開発部門 ジェネラルマネージャのクエンティン・クラーク氏が登壇した。
まず樋口氏は冒頭で「IT技術者の方々は非常に多忙で、外部の刺激を受ける機会が少なくなりがちです。しかし、理想とするエンジニアを思い描いたり最新情報に触れること自体が大事であり、その刺激が成長につながると思います」と語る。今回のカンファレンスもIT技術者がさまざまな刺激を受け、同時にマイクロソフトとの距離を縮める良い機会になれば、との思いが込められているという。
樋口氏はITを取り巻くトレンドとして、ネットワーク経由でソフトウェアを供給するクラウド、携帯をはじめ多機能化が進む各種デバイス、タッチテクノロジの進化による直観的な操作性、共存を含めたレガシーシステムとの統合、グリーンITの波を受けるサーバ統合・仮想化、プラットフォーム間における相互運用性の確保などを挙げた。こうした現状に対して「ソフトウェア開発には莫大な資金が必要ですが、それだけに少しでも方向性がズレると大きなロスにつながります」とし、最先端のITトレンドをマクロ視点で捉えて製品開発を行っているという。また、樋口氏は「エンタープライズコンピューティングにおいて"戦略とITは表裏一体"であり、時には戦略を次々と変更していく必要も出てきます。戦略の変更に応じてシステムが柔軟に対応できるよう、リソースの有効活用を目指すのが"Dynamic IT"のコンセプトです」とも語る。
具体的なITエンジニアに対する支援として、同社では2006年秋よりITエンジニア向けの支援活動「Power to the PRO」を実施、2008年3月にはユーザーの声や満足度調査の結果を踏まえて強化した「Power to the PRO Next」を発表してきた。この中でユーザーから寄せられたのが「日本語での技術情報の不足」「品質のレベル向上」「ライセンス体系が分かりにくい」という3つの不満要素だ。
まず技術情報についての改善策は、3月から6カ月にわたり約1万ページを翻訳するとの発表を前倒しで完了、さらに今後10カ月で1万ページを追加するという。品質面では検証体制の強化に加えて、本社の評価基準である「スコアカード」の中に品質項目を新採用。ライセンスに関しては、ライセンスアドバイザの日本語化やライセンスコールセンターの人員を50%拡充するなど、積極的な取り組みが行われていることをアピールした。そのほか、問題解決に役立つサービスとしてオンライン掲示板へのエンジニア投入や人力検索サービス、中小企業のエンジニア支援としてWindowsクライアント開発者に対する支援施策の新規追加なども実施されている。樋口氏は「マイクロソフトでは当初予定していた取り組みに追加して支援策を推進しています。今後も皆様の声を取り入れ、更なる充実を図っていきたいです」と語る。