大韓商工会議所の調査によれば、韓国の首都圏に所在している中小企業の多くが、自社の情報化のために投資する計画などがないことが明らかとなった。

情報化レベルは「普通」が最多

大韓商工会議所は、首都圏に所在している、正社員数300人未満の中小企業300社を対象に「国内中小企業の情報化実態調査」を実施した。

それによると自社の情報化水準について、中小企業の58%が「普通」と答えており、次に「高い」が28%で、「低い」「大変低い」と答えた回答よりも多いことが分かっった。

自社の情報化レベルについての評価(単位:%)

現在活用中の情報化システムとしては、「ホームページ」(89.3%)、社内で活用する「eメールシステム」(86.3%)、「会計ソフトウェア」(77%)が3大システムとして挙げられている。ホームページを利用する理由としてもっとも多いのは「広報のため」が65%に上っており、このほかには「顧客とのコミュニケーション」(16%)、「B2B/B2C」(7.7%)、「顧客情報収集」(6.3%)と続いている。

現在活用中の情報化システム名(複数回答/単位:%)

システム名 割合(%)
ホームページ 89.3
eメールシステム 86.3
会計ソフト 77.0
ERP 63.0
グループウェア 47.3
EDI 31.3
eラーニング 23.0

これに対し大韓商工会議所では「ホームページを情報化の本来の目的ともいえる電子商取引やコミュニケーションよりも、単純に広報手段としてしか活用していないようだ」と指摘して、ホームページの活用度向上の必要性を主張している。

さらに、きめ細やかな顧客管理をするための「CRM(Customer Relationship Management)」や、事業に関連する企業を管理するための「SCM(Supply Chain Management)」、社員の持つ知識を社内で共有する「KM(Knowledge Management)」、生産管理システム「MES(Manufacturing Execution System)」なども、それぞれ15%、12%、4.3%、6.3%と、いずれも10%台を超えることはなく、大変低い水準にとどまっている。

投資計画「なし」が7割超える

一方、今後2-3年以内の情報化投資計画についての質問については、対象企業の73.9%が「ない」と答えている。計画がある企業は21.7%、現在投資中の企業は4.4%で、投資に対する意欲や余力、実際の投資ともに大変低い水準であることが分かった。

投資計画の有無について(単位:%)

それを裏付けるように、政府などが中小企業の情報化支援を行うとすれば、具体的にどういったものを望むかと尋ねた質問については、56.3%が「資金支援」と答えている。これに「技術支援」(16.7%)、「税制支援」(11.0%)と続いている。

政府などの支援で望む項目(単位:%)

投資計画があったり、もしくは投資中である企業の65.4%は、経営資源を効率的に管理するための「ERP(Enterprise Resource Planning)」に対して投資することが分かっている。現在は導入例が大変少ないことが分かっているCRMやSCMについても、それぞれ23.1%、14.1%となっており、中小企業が導入を急ぐシステムがどういったものであるかが伺える。

韓国の中小企業の情報化といっても、現在のところは広報のためのホームページ運用にとどまっており、企業や顧客のより体系だった管理など、それ以上の部分になると、導入すら難しい状況にあるようだ。資金問題は国を問わず中小企業の悩みの種であるが、韓国の企業もそうした現実が浮き彫りになった結果となった。