米VeriSignは8月14日(現地時間)、EV SSLに対応したWebブラウザの世界シェアが50%を突破したと発表した。これはNet Applicationsが7月に発表したWebブラウザのシェア調査報告を元にしたもの。EV SSLに対応したInternet Explorer 7、Mozilla Firefox 3、Opera 9.5の合計シェアが50%を同月の時点で突破したという。またNetcraftの集計データで、過去1年間のEV SSL浸透率の上昇幅が500%以上を記録したという。

EV SSL(eXtended Validation Secure Sockets Layer)は、WebブラウザのSSL通信で使われるサーバ証明書を機能拡張したもので、標準化団体のCA/Browser Forum(CABF)によって業界標準の認証プロセスや要件定義が行われている。サーバ証明書には「暗号化」と「実在証明」の2つの役割があり、特にSSL通信で必要になる暗号化において重要な役割を果たしている。だが従来のサーバ証明書では、その上流の発行者であるルート認証局の存在しか確認できず、そのサイト自身が本来の意味で信用できるかまでは確認できないこともある。EV SSLではこの点に着目し、機能拡張で「サーバ証明書の認証局」と「サイト運営者」の確認までを行えるようにした。従来のWebブラウザはSSL通信の際に"鍵"マークが表示されるだけだが、EV SSLに対応したWebブラウザであれば、EV SSLのサーバ証明書を受け取った段階でアドレスバーの表示が緑色に変わり、「サーバ証明書の認証局」と「サイト運営者」の情報が表示されるようになる。ユーザーはこれら情報を元にサイトの安全性を判断し、一方でサイト運営者はEV SSLのサーバ証明書を取得したことで、サイトの信頼性を証明するひとつの指針を示せることになる。

Net ApplicationsによるWebブラウザ各々のシェアは、IE7が47.1%、Firefox 3が5.7%で、この時点で52.8%を記録している。つまり、すでに半数以上のユーザーがEV SSLによるアドレスバーの緑色変化に対応しているということになる。VeriSignによれば、現在EV SSLに対応したWebサイトは6,000近くに達しているという。現在はまだ大手金融機関を中心にごく一部企業の利用に限られているが、ユーザー側の受け皿である対応Webブラウザのシェアが過半数を超えたことで、今後利用率上昇に弾みがつくことになるだろう。ひいてはVeriSignなどのEV SSL発行ベンダーにとっても新たなビジネスチャンスとなるわけだ。