欧州委員会(EC)は11日(ベルギー時間)、11月にプロトタイプ公開を予定している電子図書館「Europeana」で、書籍などコンテンツのデジタル化を中心に作業が遅れていることを明らかにした。加盟国に協力と作業の加速を呼びかけている。

Europeanaは2007年7月にスタートした欧州連合(EU)の電子図書館プロジェクト。ルーブル美術館など、各国の博物館や図書館が所蔵する書籍、資料、展示物などをデジタル化し、オンラインで閲覧可能にする。写真、音声などマルチメディアコンテンツも含む大きなプロジェクトで、書籍だけで約500万冊のデジタル化を計画している。

EUによると、現在、加盟国レベルでコンテンツのデジタル化が進んでいるが、作業に遅れが出ているという。EUには図書館だけで合計25億冊以上の蔵書があり、このうちの1%しか現時点でデジタル化されていないという。

EUではデジタル化とオンライン公開を進めるため、2009年と2010年にEU研究プログラムから6,900万ユーロの予算を、競争力・イノベーションプログラムから5,000万ユーロを充てるとしている。だが、これだけでは不足で、デジタル化に充てる予算の増額を呼びかけている。また、加盟国におけるデジタル化作業の方法や技術が十分なレベルではないこと、共通の標準が必要なことなども課題に挙げている。