エルピーダメモリは7日、2009円3月期第四半期(4-6月)の決算概要を発表した。売上高は前年同期比0.2%減の1,092億2,700万円、営業損益は前年同期は37億4,300万円の黒字から156億2,200万円の損失、経常損益は同37億3,600万円の黒字から154億600万円の損失、純損益は同145億5,400万円の黒字から137億6,900万円の損失となり、3四半期連続の赤字となった。
分野別売上高構成比は、モバイル機器やデジタル家電向けのプレミアDRAMが42%、PC、サーバ向けのコンピューティングDRAMが58%となり、前四半期と比べ7ポイントほどコンピューティングDRAMの比率が高まった。台湾Powerchip Semiconductor(PSC)との合弁会社Rexchip Electronicsの売上高が全体に占める割合は10%程度、それ以外の委託先生産分売上高比率は18%となった。なお、プレミアDRAMは、比率は下がっているものの、売り上げとしては前四半期とほぼ同等であるとしている。
前四半期比ビット成長率(出荷数量の増減率)は、期初予測の15~20%を超え、26%となった。これに伴い、同社では、通期の同ビット成長率を期初の70%から80~90%へと引き上げるとともに、プロセスの微細化をより進めるために設備投資額およびRexchipへの出資額を1,000億円から1,200億円へと引き上げた。主なものとしては、広島の300mmウェハ対応Fab「E300」の65nmプロセス向け投資を増額したほか、Rexchipへの出資として2009年3月期第4四半期(2009年1-3月)に約200億円行うことを予定している。
同社取締役兼Co-CTOの安達隆郎氏は、DRAM市場の成長率と前年同期比ビット成長率の動きに対し「ビット成長率が50%をきると市場成長率が高まるのが過去の例。現在の状況もこれと似通っており、マクロ経済的にはDRAM市場は不況を脱し、成長局面に入る可能性が出てきた」とし、今後、市場が高い成長を示す可能性があることを示した。
ポジティブな要因としては、クリスマスおよび正月というイベントが控える年末に向けてDRAMが需要期に入ったこと、ならびに2008年下期におけるPCのDRAM搭載量が、伸び率が低下するものの引き続き成長が期待できること、DRAMメーカー各社の設備投資のカットと200mmウェハ対応ファブにおけるDRAM生産量の減少などを挙げた。ただし、リスク要因として、世界的な景気の減速によるPCおよびハイエンド携帯電話の需要が減退する可能性があるとし、不透明感は強くあるとした。
同社では2008年1月より65nmプロセスでのDRAMの生産を開始、現在の月産1万枚規模の生産能力を年末までに月産3万6,000枚に引き上げることを計画している。また、同年9月からは50nmプロセスを採用したDDR3ならびにモバイルRAMのサンプル品の出荷を、2009年第1四半期中に量産をそれぞれ開始することを予定している。50nmプロセスでは、新規にArF液浸リソグラフィを採用するほか、Cu配線プロセスを本格的に導入するが、「液浸やCuの導入でコンタミネーションの発生などを危惧していたが、そういった問題も発生しておらず、スムーズな立ち上がりを見せている」(同)としており、今後は歩留まりの向上などを中心に取り組みを進めていくとした。
このほか、装置の売却を行った広島の200mmウェハ対応Fab「E200」では、現在、TSV(Through Silicon Via)のラインを設置中としており、2009年中に量産技術の確立を行い、2010年に量産を開始する計画であるという。