インターネットで医薬品を販売する事業者で構成するNPO法人「日本オンラインドラッグ協会」は6日、来春にも施行される改正薬事法に対応した、ネット医薬品販売の自主ガイドラインを発表した。同法や厚生労働省の省令で規制される可能性のあるネットでの医薬品販売を、購入者とのコミュニケーションを図ることで販売可能にすることを目指している。

「日本オンラインドラッグ協会」では、「自主ガイドラインにより、対面販売と同じ効果をネットで実現したい」としている

2006年6月に公布され、2009年春にも施行が予定されている改正薬事法では、リスクに応じて医薬品を「第1類」「第2類」「第3類」の3種類に分類。今年7月には、厚生労働省の検討委員会が、各分類の医薬品販売方法の在り方について報告書の中で言及。

同報告書によれば、第1類は「情報通信技術を活用した販売は適当でない」、第2類は「対面の原則が担保されない限り、販売することを認められない」とし、この2分類の医薬品のネット販売について「否定的な見解を提示している」(日本オンラインドラッグ協会)。厚生労働省ではこの報告書に従い、改正薬事法に付随する省令を今年中にも策定・公布する可能性が高い。

だが、同協会によると、市販の医薬品の8割が第1類、第2類に属しているほか、すでに医薬品販売の4割はネットによる販売となっており、このままの流れで改正薬事法と省令が施行・実施されれば、「中小薬局・店舗などの事業継続を阻害する可能性が高い」(同)。

こうした情勢に対し同協会では、第1類、第2類の医薬品をインターネットで販売するための、「対面の原則を担保し、安全・安心な医薬品インターネット販売を実現する自主ガイドライン」を策定、公表した。

日本オンラインドラッグ協会理事長の後藤玄利氏

6日開かれた記者会見で、同協会理事長の後藤玄利氏は、同ガイドラインの内容について説明。これによると、医薬品販売事業者は、インターネットを活用し、購入者の病状を申告してもらい、販売者側からも病状などについて質問。薬剤師や販売者などの専門家が、医薬品を適切に選択、使用するための情報提供を行う。

こうした上で、専門家が医薬品を販売してもいいかどうかの判断を行うほか、薬局や店舗の基本情報を分かりやすく掲示したり、必要に応じ医師による受診を勧めたりする。

後藤氏はガイドラインについて、「ネットの特性を駆使して、対面の原則を担保できるものとなっている。顧客ごとにきめ細かい相談・情報提供を行い、たとえ購入者が希望しても、専門家が適正でないと判断した医薬品については販売しないなど、実効性のある枠組みを構築していきたい」と述べた。

同ガイドラインが、法律・省令をクリアし、ネットによる医薬品販売の拡大につなげていけるかどうか、注目される。