Googleが提供するGoogleマップの人気機能「ストリートビュー」が日本の都市にも対応した。Google マップ上で指定した地点をパノラマ写真で表示し、地図の歩行者視点を提供するというこの機能。その場にいるかのように、マウス操作で360度全周囲を見渡せるほか、実際にパノラマ写真だけで道を進むといった使い方もできる。米国では2007年5月に公開されており、楽しさと実用性を兼ね備えた機能として日本国内都市のカバーを要望する声が寄せられていた。まずは、東京/大阪/京都/神奈川/千葉/埼玉/北海道などの主要都市から公開する。
日本版Googleマップでも「ストリートビュー」が表示可能に。写真内の矢印をクリックするとその方向に進んでいける |
東京23区の公道は80~100%をカバー。写真データのある道は青色で表示。「リンク」をクリックすると埋め込み用URLを確認できる |
プロダクトマネージャ 河合敬一氏 |
グーグルはこの日、ストリートビューの日本都市データ公開にともない、記者説明会を開催した。現在、Googleマップには、地図画面上に「ストリートビュー」というメニューが用意されている。これを選択すると、パノラマ写真が用意されている道路を青色で提示、クリックでその地点の写真がポップアップ表示される。同社プロダクトマネージャ 河合敬一氏が「地図から得られる情報の質が上がってきた」と語るとおり、写真は360度自在に視点を変更でき、周囲を見渡すだけでなく、見上げられるようにもなっている。パノラマ写真内の矢印をたどると実際に歩いているような感覚で道を進むことができ、「バーチャル散歩を楽しんでもらえたら」(河合氏)。また、全画面表示モードを用意するほか、任意の地点のストリートビューをブログなどに埋め込むことも可能だ。
プライバシーに配慮
パノラマ写真はクルマから撮影したもので、公道から見えるものを対象としている。そのため撮影データには歩行者も映っているが、個人情報保護の観点から、識別可能な人物画像については顔を自動検出してぼかす技術を採用した。不適切な画像に対する削除依頼や、自宅の公開を希望しない人の要望も受け付ける。
「ストリートビュー」のビジネス活用
河合氏は、ストリートビューのAPIのビジネスシーンでの活用についても言及。日本では公開したてのため活用事例がないが、米国では同APIの活用が進んでおり、例として不動産検索サイト「trulia」が紹介された。同サイトでは、紹介物件情報とともにストリートビューによる周辺の様子を表示。ユーザーは当該物件のまわりの環境もチェックでき、現場に足を運ばずともより多くの情報を得ることができる。このようなユーザーに対してさらなる付加価値を提供するものとしてもストリートビューの活用が見込まれるという。
1都市をカバーするには3~4カ月を要するという。撮影車の稼働台数などの詳細は非公開だが、カバーエリアは順次拡大していく予定だ。なお、ストリートビューは、オーストラリアの都市データが同日公開されたほか、米国では50都市、欧州ではツール・ド・フランスのコースをチェックできるようになっている。