中小企業庁は7月31日、2007年の中小企業実態基本調査確報を公表した。これは中小企業基本法の規程により年1回実施しているものだ。以下、主なポイントを解説する。
従業員数は7.9%減の2754万人、情報通信業のみ増加
2007年における中小企業全体の従業員数は、2006年に対して7.9%減の2,753万8,736人だった。業種別に増減を見ると8.2%増だった情報通信業以外は全て減少しており、情報通信業でも法人企業は8.9%増だが、個人企業は35.0%減と大きく減らしている。
契約形態別の従業員構成比を見ると、全体平均では正社員が48.9%、パート・アルバイトが25.9%だった。業種別の正社員比率は情報通信業が73.2%で突出しているが、情報通信業のパート・アルバイトの比率は13.3%で建設業に次いで低い。
1社あたりの従業員数は全体平均では8.0人であり、2006年と同じだった。業種別では運輸業が29.0人、情報通信業が24.8人と多く、この2業種はいずれも2006年と比べ大きく増えている。逆に大きく減った業種は飲食店・宿泊業で12.7%減だった。
売上高は4.3%減の497兆円
2007年の中小企業全体の売上高は497兆194億円であり、2006年と比べ4.3%減少した。業種別では卸売業(26.0%)が最大で、以下製造業(21.7%)、建設業(14.7%)の順だった。情報通信業は全体の2.0%にあたる9兆9,642億4200万円だった。
業種別に対前年増減を見るとサービス業が12.8%増と最大の伸びを示し、不動産業が4.6%増で続く。情報通信業は0.6%増とわずかながらプラス成長だった。最も大きく落ち込んだのは飲食店・宿泊業の22.5%減だった。
1社あたりの増減の平均は4.0%増であり、運輸業が22.1%増で最も大きい伸びを見せた。以下サービス業(20.1%増)、不動産業(16.9%増)が続く。減少幅が最大だったのは飲食店・宿泊業の15.8%減であり、情報通信業は2.4%増だった。
中小企業全体での1社平均の経常利益は2006年に対して1.4%減の485万円だった。業種別の対前年増減では運輸業の57.8%増が突出しており、卸売業が8.9%増で続く。情報通信業は19.2%減の1,387万3000円だった。
1社あたりの売上高から売上原価を差し引いた付加価値は中小企業全体では2006年と比べて2.1%減の2,431万9000円であり、付加価値の売上高に対する比率である付加価値率は同1.0ポイント減の16.8%だった。業種別で付加価値額が最大だったのは情報通信業の8,955万4000円だが、対前年では4.8%減少している。対前年増減が最大だったのは運輸業の19.0%増だった。
売上高における本業比率の増減は中小企業全体の平均で93.8%であり、2006年から横ばいだった。業種別ではた飲食店・宿泊業が95.4%で最も高く、以下製造業(94.9%)、運輸業(94.8%)が続く。情報通信業は92.7%だった。
商品・製品の仕入先は中小企業全体では中小企業と大企業がほぼ同率だが、飲食店・宿泊業と運輸業、不動産業では中小企業からの比率が高く、情報通信業では大企業からの比率が高い。販売先は全体では中小企業向けが48.1%と半数近くを占め、個人向けが24.8%、大企業向けが20.1%だった。業種別で大企業向けの占める比率が大きいのは情報通信業で36.8%だった。
電子商取引額が売上高の1割以上に上る企業が21.6%
中小企業実態調査では、電子商取引の状況も対象にしている。2007年に電子商取引を実施した中小企業は全体の6.5%にあたる22万1,563社であり、そのうち年間売上高の10%以上を電子商取引が占めた企業は21.6%だった。電子商取引の売上額が全体の10%を超えた比率が最も高いのは製造業の37.2%であり、建設業が29.8%で続く。サービス業は25.5%、情報通信業は22.6%だった。