NTTデータ 代表取締役副社長 榎本隆氏 |
NTTデータは31日、2009年3月期第1四半期(4-6月)の決算概要を発表した。売上高は前年同期比12.3%増となる2449億円、営業利益は同5.5%増の211億円、経常利益は同0.8%増の208億円、純利益は同0.7%増の119億円となった。また、同四半期の売上原価は前年同期比233億円増の1827億円、原価率は同1.5ポイント増の74.6%、受注高は同7.2%増の4374億円となり、原価率の増加を増収でカバーした形となった。
主な分野別の売上高は、公共分野が前年同期比14.1%減となる547億円、金融分野が同31.5%増となる1061億円、法人分野が同14.2%増となる780億円となった。
売上高の伸びの主な要因は、独itelligenceの子会社化などによる連結子会社の拡大や運用ビジネスおよびアウトソーシングビジネスの拡大によるもの。特に連結の売上増加分140億円の内、「約134億円は連結子会社の拡大によるもの」(NTTデータ 代表取締役副社長 榎本隆氏)としている。
また、受注高の増加は、金融分野が既存顧客向け案件の受注拡大や地方銀行向けのビジネス拡大などによる増加(+870億円)のほか、法人分野における運用ビジネスの受注拡大、ならびに連結子会社の拡大(+145億円)などが押し上げ要因となり、公共分野での受注一巡などの影響(-740億円)を上回った結果となっている。
なお、同社ではITサービス市場の今後の見通しとして、公共分野については中央省庁の情報化予算額が微減となるものの、安心安全分野やヘルスケア分野の投資が拡大する見込みとして横ばい程度。金融分野は、戦略投資、合理化・省力化投資が見込まれるものの、金融市場の軟調化の影響により、不透明感が漂い始めていることもあり、横ばい、もしくは微増程度の伸び。法人分野は、企業の投資動向が、業種や企業規模により差が出てきつつあり、すでに案件の先送りなども出てきているなか、グローバルSCMの最適化や異業種連携のための基盤システム構築ニーズなどが出てくるとして、横ばい、もしくは微増程度の伸びが見込めるとしている。
市場の先行きとして榎本氏は、「(2008年3月期より開始した)中期経営計画の中で1番厳しい年になる可能性がある」としながら、「例えば金融分野では、第1四半期の手ごたえとしては厳しいことは厳しいが現場が踏ん張っている感じ。法人分野でも原油高などが影響を及ぼしているが、そういう時こそ、ITを軸にして業務改善に役立っていければ」とし、必ずしも景気が後退局面に入ったからといって、ITサービス市場も悪くなるというわけではないとの見方を示した。