総務省は29日、同日開催のICT国際競争力会議において「ICT国際競争力強化プログラム」を改定したと発表した。同プログラムは2007年5月22日に策定・公表したICT(Information and Communication Technology:情報、通信技術の一般的な総称) 産業の国際競争力強化を実現するための一連の政策であり、今回の改定はこれまでの施策の進捗状況を踏まえて見直したもので、「ICT国際競争力強化プログラムver.2.0」として2008年度に実施すべき施策をまとめている。

3つの柱の下に整理

見直しにあたっては、基本プログラムについて「国際競争力強化体制の充実」「国際競争力強化プロジェクトの推進」「国際戦略等の推進」の3つの柱の下に整理し、今年度取り組むべき具体的各施策を明確化した。個別プログラムについては、ICTの研究開発/標準化活動/知的財産戦略は一体的に強化するものとして、3つに分かれていたプログラムを1つに集約するなどの改定を実施した。全体を通じ、一般的かつ抽象的な施策をできるだけ排して実効的で具体的な施策を取り上げたという。

国際競争力強化体制の充実

基本プログラムではまず体制面の整備として、今月新設した情報通信国際戦略局が総合政策・技術政策・国際政策の有機的連携を図り、国際競争力強化に関する政策を機動的に展開していく。日本のICTに対する他国のニーズを適切に把握し産学官連携ミッションを戦略的に形成するため、総務大臣を議長とするICT国際競争力会議の下に「海外市場開拓分科会」(仮称)を設置する。

またICT国際競争力会議においてPDCAサイクルを着実に実施するとともに、定期的にフォローアップを行い、その結果を踏まえて同プログラムを適切に見直していく。

国際競争力強化プロジェクトの推進

国際競争力強化プロジェクトの推進では、今年3月までに創設した28のユビキタス特区事業において電波と予算を活用して世界の需要に応えるICTサービスを開発していく。また従来のICT産業の国際競争力強化に加え、都市の国際競争力強化や地域再生・産業創造を目的とするプロジェクトも対象とする「拡大版ユビキタス特区」を、2009年1月を目途に創設する。

次世代移動通信/ユビキタス・プラットフォーム技術/スーパーハイビジョン/新世代ネットワークの4つの柱で今年度から推進する予定の「ジャパン・イニシアティブ・プロジェクト」では、「UNS研究開発戦略プログラムII」や日本のICTに対する他国のニーズを踏まえてプロジェクトの推進を図っていく。プラットフォームの開発・整備として、日本の要素技術の強みを活かした「低廉でグローバル市場で受け入れられやすく使いやすい統合プラットフォーム」を世界に先駆けて構築するため、ユビキタス特区のテストベッド等を活用してGSM機能付3G携帯端末の開発などを推進する。

国際戦略等の推進

国際戦略等の推進としては、まず重点分野における基本戦略の推進として、2007年度に策定した次世代IPネットワーク/ワイヤレス/デジタル放送の重点3分野について、国際展開に関する基本戦略を進めていく。これに関連して産学官連携ミッションの戦略的形成・派遣などを通じて他国のニーズを的確に把握し、重点分野の追加や修正についても適宜見直していく。

技術外交の戦略的展開として、国際的な研究開発連携/国際標準化/知的財産戦略/経済協力等の具体的施策を一貫性、一体性を持って総合的、組織的に行い、関係省庁と連携して戦略的に展開するとともに、産学官ミッションを戦略的に形成し派遣する。これに関しては外務省や首脳外交との連携や産業界との協力を視野に入れる。

通信・放送分野の改革を推進するため、「通信・放送の在り方に関する政府与党合意」に基づき策定した「通信・放送分野の改革に関する工程プログラム」を実施するとともに、その進捗状況を踏まえて見直していく。

個別プログラムでは、ICT研究開発・標準化・知的財産強化プログラム/ICT人材育成プログラム/ソフトパワー強化プログラム(コンテンツ関連)/国際展開支援プログラムの4分野において各種施策を実行していき、税制・財政金融・ODAの活用など予算面からの支援を関係省庁と検討を進める予定だ。