通信機器メーカー大手の仏Alcatel-Lucentは7月29日(現地時間)、同社会長のSerge Tchuruk氏とCEOのPatricia Russo氏の両名が10月1日に辞任する人事を発表した。現在のところ両ポストの新任者は未定で、役員会は至急人選に乗り出す。それまではTchuruk氏とRusso氏の両名が引き続き同社の指揮を執ることになる。Alcatel-Lucentは同日に2008年第2四半期(4-6月期)決算を発表しているが、その中で6四半期連続の赤字を計上している。株価も低迷するなか、その経営責任を取ってのトップ辞任となる。

現会長のTchuruk氏は仏Alcatelの出身、一方の現CEO Russo氏は米Lucent Technologies出身となる。両社は2006年4月に合併を発表し、紆余曲折を経て同年末に合併承認を取り付け、2007年4月に世界最大規模の通信機器メーカーである新生Alcatel-Lucentの誕生となった。経営効率とスケールメリットを活かすための大型合併だったがその業績は振るわず、前出のようにAlcatel-Lucent誕生からほぼ一環して赤字状態が続いている。同社では経営状況の改善を訴えているものの、昨夏以降の世界同時株安から始まる経済情勢の悪化もあり顧客らは設備投資を抑制、世界のほとんどの大手通信機器メーカーは業績不振で苦しむこととなった。Alcatel-Lucentも例外ではなく、第2四半期の売上は昨年同期比で5.2%の減少となるなど、世界経済低迷の影響を受けつつある。

同日に発表された2008年第2四半期決算は、売上が41億100万ユーロで前年同期比5.2%の減少、純利益(損失)が2億2200万ユーロの赤字となる。営業利益は2007年第2四半期の1900万ユーロの赤字から比較して、2008年には9300万ユーロの黒字と大きく改善しているものの、赤字そのものからの脱却はできなかった。2008年全体の見通しについては、欧米市場での低迷はあるものの、アジア圏を中心にGSM/W-CDMAなどのワイヤレス通信機器の需要が強く、今年末から来年にかけて大きな市場へと成長が見込まれるという。業績については第3四半期は季節柄減少に転じるが、第4四半期には回復に向かうと同社では見込んでいる。

合併から1年半を経たAlcatel-Lucent、徐々にではあるが業績は改善傾向にあり、合併後の山場をようやく超えつつある。今後しばらくは世界経済混乱が続くとみられるが、この中で生き抜くための施策や他社との差別化が重要になってくるだろう。