英Times Onlineや米Wall Street Journal(WSJ)を始めとする一部海外報道は、イタリア当局がGoogleに対し、倫理に反する動画が投稿されたのを、公開前に適切にチェックしなかったとして、刑事責任を問う訴訟の用意を整えていると伝えた。

同報道によれば、2006年にイタリア語版の動画共有サイト「Google Video」上で公開された、ある投稿動画が論争の的となっている。この3分11秒間の動画は、トリノ北部の学校内で撮影されたとされる。内容は、4人のティーンエイジャーが知的障害を抱える学生を散々にからかった挙句、頭部を殴るなどの暴行を加えるというもの。Googleが要請を受けて削除に応じるまで、インターネット上に広く公開されて大問題になったという。

すでにイタリア当局は、虐待行為に関与した4人のティーンエイジャーに対する起訴手続きを取っている。一方、本件に関し、Google側の責任の有無を問うため、約2年間におよぶ調査を実施。調査の結果、当時のGoogle Italy会長や取締役、Google Videoの欧州担当トップなど、計4名のエグゼクティブの刑事責任を問うべく、間もなく当局側が正式な起訴手続きに入ると伝えられた。

一方、Googleは、当局の調査や要請に十分協力する姿勢を見せてきたにもかかわらず、起訴に至る事態になったことについて、非常に残念に感じていると非公式にコメント。これはGoogle一社の問題ではなく、インターネットの開かれた言論の自由への攻撃であるとして、徹底的に争う方針を示しているという。

Googleは、イタリアも加盟しているEUの法制度下では、不適切な投稿動画についての通報を受けた後、直ちに動画の削除に応じる責任はあるものの、事前に動画の内容を検閲して監視する責任まではないとの主張を打ち出しているようだ。

しかしながら、このところYouTubeなどの動画投稿サイトには、虐待をはじめ数々の反倫理的な動画が見受けられる。こうした事態は各国で大きな問題となっており、今回の訴訟の展開にも注目が集まっている。