QuarkXPress 8日本語版発売のアナウンスが流れたのが約2カ月前。しかし、「ホントに7月31日に発売されるの?」と皆さんが疑心暗鬼になるのも無理はない話。これまでQuarkXPress日本語版は発表後、予定通りに発売されなかったどころか、発売そのものが取り消されたバージョンもあったからだ。しかもアップグレード価格は非常に高価で、ユーザーにとってあまりにも非現実的な設定だった。

そんな疑問に「私も入社して大変驚きました。もう二度とあんなことは繰り返しません」と率直に答えてくれたのがクォークジャパンの代表取締役須崎弘明氏。「すでにディストリビューターの倉庫にQuarkXPress 8日本語版のパッケージが眠っています。ご安心ください」というフライング的な言葉も飛び出した。Quark社はどのように生まれ変わったのか? 須崎氏は過去の同社の反省も含め、その真実と本音を語ってくれた。そして、DTP業界が長年抱えてきた「不正コピー問題」に関しても救済策を予定しているという。その一部始終をお届けしよう。

「これが間違いなく出荷されるという証拠です」とパッケージを掲げて見せてくれたクォークジャパン代表取締役須崎弘明氏

--ユーザーがQuark社に対して不信感をもったきっかけの一つに、バージョン3から4への高額なアップグレード価格があります。この件に関しては、どのように受け止めているのでしょうか

おっしゃるとおり、私も入社して大変驚きました。新製品のリリースも含めて、こうした一つ一つの事例が、信頼を失う結果につながっていったわけです。ここでお約束したいのですが、あのようなアップグレード価格は二度と設定しません。今はグローバルなプライス戦略の元で価格設定を行っています。これからは、世界同時に新バージョンをリリースし、アップデータも同じく全言語バージョンを動じに提供することをお約束します。もちろん、これからは「日本語版だけ発売されない」ということもありません。

入社して以来、さまざまな方にQuarkXPressに対する率直なご意見を頂きました。今は底辺にあるかもしれませんが、できるだけのことをやって信頼回復に努めたいと思っています。そして、これまでご迷惑をお掛けした皆様に新しいQuarkXPress 8の完成度をぜひ見て頂きたいのです。

クォークジャパン代表取締役須崎弘明氏。同志社大学卒業後、1982年に日本ヒューレット・パッカード株式会社に入社。チャネルマーケティング本部長を経て1999年に退社。その後、外資系ソフトウェアベンダー営業本部長など数社を経て、2006年6月クォークジャパン株式会社代表取締役に就任

--ユーザーはQuark社が変わったと信じていいのでしょうか

QuarkXPress 6日本語版が発売されたのが2004年ですから、本当にここまで長い時間がかかりました。ただ、日本市場では未だにQuarkXPress 3.3や4.1を使われている方が多いのも現実です。我々としては、まずはこうした方々をQuarkXPress 8に取り込むことが最優先だと考えています。

私がクォークジャパンの代表に就任した2006年6月当時、社内は「プロダクトが良ければ売れる」という発想でした。しかしながら、競合他社さんの製品と比べて機能不足な面があるのに価格が高いのでは売れるわけがないですよね。そこで取り組んだのが2006年11月に行ったQuarkXPress 6の価格改訂です。「プロダクトありき」という考え方から、お客様を中心に考えることへ舵を取り直しました。ちょうど同じ時期の2006年11月、米国本社のCEOに就任したRaymond Schiavoneも同じ思想をもっていました。お客様を中心にすべての物事を決定し、販売やエクステンションの開発で協力を頂くパートナーとの関係を見直すこと。これが、新しいQuark社の目標となったわけです。

Quark社の良さは、「プライベートカンパニー」であることです。開発も小回りが効くので、お客様の声を聞いてすぐに対応策を提案できることです。それなのに、この良さを一時期見失ってしまった。そこが、一番の問題点でした。しかし、ここ数年でQuark社はワールドワイドで変わっています。その中で生まれたのが、QuarkXPress 8なんです。