米Googleは7月23日 (現地時間)、知識共有プロジェクト「Knol (ベータ)」を一般公開した。特定のトピックについて知識のある人が記事を執筆、ネット上で公開し、それらをコミュニティが閲覧・評価するためのサービスとツールが用意されている。
記事を書くにはGoogle IDを使って「Write a Knol」にログインすると、編集ツールに切り替わる。タイトルやサマリー、記事、キーワードなどを順番に入れていくだけでKnolのレイアウトに従った記事(knol)が完成する。編集ツールの上部にはフォーマットバーが用意されており、ワープロソフトを使う感覚で太字やアンダーライン、リンク、写真の配置などの文書編集作業を行える。Saveするとドラフトとして保存され、Publishすると公開される。
Googleのコンテンツポリシーに従った範囲内であれば、あらゆるトピックについて誰でも自由に記事を書ける。ただし匿名での執筆は認められておらず、公開された記事には右上部に執筆者のプロフィール情報が表示される。Googleは編集には一切手を出さず、すべての編集責任を執筆者が負うことになる。記事内容の信憑性のチェックはコミュニティに委ねられており、レーティングやコメント、レビュー、不適切な記事内容の通報など、読者が記事を評価するための様々な方法が用意されている。
ユーザー参加型という点ではWikipediaに似ているが、百科事典プロジェクトという位置づけではない。Knolのヘルプによると「Knolプロジェクトは、あらゆるトピックについて、個人の意見や考え方を後押しするフォーラムである」としている。同じトピックについて、複数の人がそれぞれ記事を書くことが可能であり、また公開された記事は執筆者の許可なく第三者が編集できないようになっている。ただし記事作成にはコラボレーション設定が用意されており、例えば「Moderated collaboration」では読者による情報の修正や追加の提案が認められ、執筆者が承認した場合、その内容が公開中の記事に反映される。
評価が高いknolほど検索の上位にランクされ、より多くのページビューが期待できる。AdSenseプログラムを通じた広告掲載も可能で、執筆者が広告掲載を選択した場合、広告収入の一部が執筆者に支払われる。
Googleの公式ブログによると、Knolでの記事作成におけるコンテンツ利用で米国の雑誌New Yorkerと提携合意したという。1つのKnolにNew Yorkerのカートゥーンを1つ掲載できる。「風刺漫画は、記事の説得力を増す効果的(そして愉快)な手法である」としている。