富士通 金融ソリューション開発本部 本部長 吉田春男氏 |
富士通は22日、金融機関向けソリューション「EVOLUO」の新ラインナップとして、営業店端末やATM、インターネットなどさまざまなチャネルを統合するソリューション「EVOLUO-ChannelIntegrator」の販売を開始すると発表した。提供開始は、2009年1月からで、提供形態は、セッション数(同時ログイン数)に応じた従量制課金となる。
発表に際し、富士通の金融ソリューション開発本部で本部長を務める吉田春男氏は、「これまで、金融機関のチャネルは営業店端末やATMなどそれぞれが別システムとして構築されることが多かった。今回のソリューションはそれらを統合してワンストップで提供することによりシステムの全体最適化を図るとともに、提供形態を従量制課金を採用することで投資コストを平準化できるようにした」と、製品のねらいについて語った。
EVOLUO-ChannelIntegratorは、システム連携の基盤となる「チャネルフレームワークサービス」を基本サービスとして、そこに4つのオプション・サービスを付加するかたちで構成されるソリューション。
まず、チャネルフレームワークサービスは、勘定系システムやATMシステム、インターネット・バンキング・システムなど、金融機関のさまざまなチャネルを統合するためのシステム連携基盤となる。SOA(Service Oriented Architecture)に基づいたシステム連携が可能で、ユーザ・インタフェース部分でもAjaxやマッシュアップといったWeb2.0技術を採用し、操作性の向上を図っている。
この基盤を利用することにより、例えば、従来、異なったシステムに属する取引業務や顧客情報などを複数の画面(端末)で操作しなければならなかったケースでも、それらを1つの画面内に配置したうえで、画面間でのデータ連携を可能にするなど、チャネルを統合した情報の一元管理が可能になるという。また、金融機関を利用する顧客の側でも、例えば、インターネット上で、ATMを利用するのと同等の操作感で取引ができるようになるほか、顧客の年齢や取引状況などの属性にあわせてインタフェースを切り替えるといったサービスを利用できるようになるとしている。
一方、オプション・サービスとしては、「事務ナビゲーションサービス」「FBC連携サービス」「事務量可視化サービス」「取引監視セキュリティサービス」の4つが提供される。まず、2009年1月に、基本サービスとともに、事務ナビゲーションサービスとFBC連携サービスを提供。取引監視サービスと事務量可視化サービスについては、2009年10月に提供を開始する予定。
事務ナビゲーションサービスは、営業店の窓口のオペレータ端末などで、顧客の取引受付から取引完了までの事務手続きの操作を手順に沿って表示し、適切なナビゲーションを行うことを支援するサービス。事務手続きと連動して、来店した顧客の個人情報や取引履歴の表示、事務規定文書などへのリンクも表示することができる。同社では、これにより、オペレータに依存しない窓口サービスの均一化やオペレータ教育の軽減などが図れるとしている。
また、FBC連携サービスは、同社の営業店システム「Financial Business Components」を導入してるユーザー向けで、アプリケーションや画面などの既存資産を今回のソリューションに適用できるようにするもの。なお、同社によると、こうした営業店端末での同社の国内シェアは4割に達しているという。
2009年10月から提供される事務可視化サービスは、すべてのチャネルの取引情報を、取引履歴データベースに格納し分析するサービス。同社によると、従来は、取引履歴を件数ベースでしか把握できなかったが、このサービスでは、事務にかかった時間を業務プロセスごとに表示し、分析することが可能という。これにより、より正確な事務作業の改善対策を立てることができ、事務作業の効率化と、窓口での顧客の待ち時間の短縮がはかれるとしている。
また、取引監視セキュリティサービスは、不正取引の未然防止や事務作業の健全性をチェックするサービスで、不正な取引についてアラートを支店長に送付したり、不正発生の割合や発生パターンを比較、検証できる機能を提供する。
価格は、必須となるチャネルフレームワークサービスが年額500万円(セッション数1~100。以下同じ)から。オプションの事務ナビゲーションサービスが年額300万円から、FBC連携サービスが年額100万円から、事務量可視化サービスが200万円から、取引監視セキュリティサービスが年額100万円からとなっている。同社では、中堅規模の金融機関に相当するセッション数301~800のケース(プランMに相当)でも、すべてのサービス利用で年額5000万円に収まるとし、それぞれのシステムを更新/刷新するよりも投資効果が高いとアピールした。現在までに稼働実績はないが、売上げ目標としては、今後5年間で150億円を掲げるほか、グローバル展開も視野に入れているという。