NECは、PCや携帯電話のTV会議機能を応用した遠隔地間におけるメタボリックシンドローム対策指導の支援システムを開発し、社内での実証実験を開始したと発表した。

新システムは指導実施者と対象者がポータル画面により、対象者の健診結果や日々の体重等の健康情報を共有するもの。TV会議機能により指導実施者と対象者が対面で各種教育ツール等を共有しながら、保健指導を実施できるのが特徴。

対象者は面談のために保健指導機関へ出向く時間や手間を節減できる。対象者と指導実施者の間で円滑なコミュニケーションを確立し、指導の質を高めるとともに、途中脱落者を抑制し、数カ月に及ぶ継続指導を支援する。

これらにより、指導実施率の向上や、メタボリックシンドローム該当者や予備群の減少といった成果の出る保健指導の実現に貢献できるという。また同システムは、支援ポイント管理等の業務効率化支援機能を搭載し、制度が規定する指導管理や事務処理の効率化により指導実施者が指導に専念できる環境を提供する。

新システム開発の背景には、4月施行の特定健診・保健指導制度がある。同制度により保険者は保健指導の成果が求められ、保健指導サービスの需要が高まっているが、対象者見込み数に対して指導実施者が不足し、特に地方では保健指導サービスが不足しているという。また、制度が規定する指導管理や事務処理業務が多く効率化が求められており、対象者にとっては保健指導実施機関に通う手間や時間の負担が課題になっている。

NECは、現状では制度上の規制が存在するとしながらも、将来の規制緩和を見越して遠隔面談による保健指導の実証実験を実施した。実験ではコミュニケーション品質の比較やプライバシー保護対策なども併せて検証し、将来的には次世代ネットワーク(NGN)の利用も想定し、エクササイズ用の動画コンテンツ配信やASP/SaaSでのサービス提供などを検討していくという。実験の成果は、今後拡大が予想されるヘルスケア市場への注力を目指し製品化に反映する方針だ。