AMDは7日、「AMD Green IT 2008 環境配慮のITで企業が変わる。ハードとソフトの融合で実現する真のグリーンIT」を開催した。この中で東京都 環境局 環境政策部の千葉稔子氏は、東京都の気候変動政策についての発表を行った。

東京都 環境局 環境政策部 主査 千葉稔子氏

講演は「東京都の気候変動対策について -東京都が新たに導入する「大規模事業所への温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度」を中心に-」と題されたもので、6月25日に改正可決された環境確保条例の内容を中心に、東京都の気候変動政策の基本的な考え方や実施状況、今後の制度強化について語られた。

「東京のエネルギー消費量は、デンマークなど北欧の1国分に相当する。世界の人口の約5割が都市部に居住しており、今後は都市部への人口集中や途上国の都市化によって都市部でのエネルギー消費はますます増加することが予想される。しかしエネルギー資源は有限であり、50年後にも都市部が他の地域からのエネルギー供給を受け続けられる立場にあるとは考えられない」と、千葉氏は大都市である東京都が積極的にエネルギー対策を行わなければならない理由を語った。

そうした状況の中で求められている対策は、消費エネルギーを減らす「低エネルギー化」と、再生可能エネルギーや未利用エネルギーの積極的な活用だという。これを実現するために2007年6月に策定されたのが「東京都気候対策方針」だ。これは、温室効果ガスを2020年までに2000年比で25%削減しようという「カーボンマイナス東京10年プロジェクト」の基本方針となっている。

東京都気候変動対策方針の内容(その1)

東京都気候変動対策方針の内容(その2)

東京都気候変動対策方針の内容(その3)

この中で特に注目を集めているのが、大規模事業所を対象に温室効果ガスの排出総量削減義務と排出量取引制度の導入だ。これは2002年度から開始されている「地球温暖化対策計画書制度(環境確保条例)」を改正したものとなっている。

温暖化ガスの排出量を把握するところから始まり、東京都が選定した基本対策の実施を促進するなど、自主的取り組みの推進がこれまで行われてきている。特に東京都が選定した基本対策については、それをいかに実施するかの計画書の提出が義務付けられ、対策の程度によって5段階の評価が行われた。

「最初の段階では基本対策が不十分だというB、Cクラスの評価が全体の半数を占めるという状態だった。その後、繰り返しの指導と助言の結果、9割以上が基本対策は満たしている状態になった。しかし、要求された基本対策を超える取り組みを積極的に行っているという事業所は半数程度に留まっている状態にある。多くの現場スタッフからは、これ以上の踏み込んだ対策や投資回収に長い期間を要する対策は、トップの判断がないと進まないという声が聞かれた。総量削減の義務化と排出量取引制度の導入は、現場の管理レベルから経営者が真剣に考慮すべき課題に変える契機になると考えている」と千葉氏はこれまでの取り組みについて解説した。

基本対策に関する計画書の評価基準

計画書の評価結果の推移