APC 代表取締役社長 兼 CEO ローラン・ヴェルナリー氏 |
米American Power Conversion (APC)の日本法人であるAPCジャパンは7月10日、プライベート・イベント「APC Solutions Forum 2008」を開催するとともに、データセンタ向け統合管理アプライアンスの新製品「InfraStruXure Central」、および、データセンタ/サーバ・ルーム向けアセスメントサービスの提供を開始すると発表した。記者発表にあたって挨拶に立ったAPCの代表取締役社長 兼 CEO、ローラン・ヴェルナリー氏は、「電源やインフラといったエネルギーに集中し、日本で12年にわたってビジネスを展開してきた。日本市場の潜在的な可能性は高く、また、当社の事業と製品は日本のニーズに合っている」と、同社と製品の位置づけについて語った。
新製品"InfraStruXure Central"は、データセンタの電源、ラック、冷却システムといった各種インフラを統合管理するためのアプライアンス・サーバ。監視対象ノード数や管理できるラック数の違いによって、Basic、Standard、Enterpriseの3ラインナップで構成されている。監視対象ノード数はそれぞれ、500ノード、2025ノード、4025ノード。ラックス数はそれぞれ、20、100、200。
サーバに搭載される運用管理ソフトは、3ラインナップすべて同一で、「InfraStruXure Central V5.0」となる。同ソフトは、同社のInfraStruXureシステム向け監視ツールで、主な機能として、リアルタイムでの機器モニタニリング、レポート作成とグラフ表示、トレンド解析、即時イベント通知を備える。SNMPに対応した他社製品のモニタニングが可能という。
管理ソフト「InfraStruXure Central」の画面。リアルタイム・モニタリングの結果をグラフで表示 |
「Capacity Manager」の管理画面。フロアレイアウト、消費電力、発熱などをグラフィカルに表示する |
また、InfraStruXure Centralサーバに追加できる運用管理ソフトとしては、「Capacity Manager」と「Change Manager」が提供される。Capacity Managerは、データセンタ全体のキャパシティを管理するソフトで、フロア内のラックの配置や消費電力、発熱量、エアフローなどをグラフィカルに表示させることができる。機器の新規導入や増設時などの際に、電源や熱の実際の使用量を分析し、電源容量、空調能力、ラックスペースの空きなどをシミュレーションすることも可能。また、設置した機器の種類や仕様などはデータベースとして管理画面上で確認できる。
一方、Change Managerは、IT機器の変更に対する指示や資産管理を行うソフト。変更作業を項目別にスケジュール化して表示したり、期日やステータスを並べ替えて、進捗レポートを表示したりできる。モバイル・デバイスにも対応しており、データセンタ内を移動しながら、データを入力することが可能になっている。
APC バイスプレジデント ジョン・タッシーロ氏 |
製品紹介を行ったAPCのバイスプレジデント、ジョン・タッシーロ氏は、「電力、冷却システム、監視カメラのデータ、イベントを集中的に管理するリポジトリとして、ネットワーク上のどこからでもアクセスでき、データセンタ内のクリティカルな問題を迅速に評価、解決できる」とアピールした。
また、IBMのシステム監視ソフト「Tivoli Monitoring」との連携が可能になっているほか、今後は、NECの「WebSAM MCOperations」、「SigmaSystem Center」、日立製作所の「JP1」との連携も図っていくとしている。
一方、アセスメントサービスは、データセンターの電力や冷却などの評価・分析を行うサービスで、7種類のコンサルティングメニューが用意されている。構成としては、
- データセンタ電源・空調アセスメントサービス
- 流体力学を用いたデータセンタ空調解析
- データセンタ熱分布アセスメント
- ワイヤリングクローゼット(配線配置)アセスメント
- ブレードサーバレディネスアセスメント
- データセンタ電源効率アセスメント
- データセンタ電源回線トレース
というもの。
発表では、このサービスでの報告書の例として、データセンタの電源などの配置図が提供されることを紹介。国内では、年内に1~2種類からスタートし、順次拡大していくとしている。このほか、データセンタ全体の効率を計算するためのツールや、二酸化炭素排出量を計算するツールなども紹介された。