米CBS子会社の英Last.fmは7月9日 (現地時間)、今年1月に発表した「Artist Royalty」プログラムの運用開始を公式発表した。音楽レーベルと契約していないアーティストが、直接Last.fmに自分たちの楽曲をアップロードし、再生回数に応じて報酬を得られる仕組みだ。インターネットラジオ局から著作権使用料を徴収するための組織SoundExchangeや音楽レーベルなどを介さずに2000万人を超えるLast.fmユーザーに直接楽曲を提供することで、ミュージシャンは独自の音楽活動を展開し、よりレートの高い著作権使用料を得られるチャンスとなる。発表から、これまでに450,000トラックがすでにアップロードされているそうだ。
同プログラムのFAQによると、著作権使用料はLast.fmのサービスで再生される度に発生し、その額はサービスの種類で異なる。例えば無料ラジオサービスで再生された場合、その曲に関連した広告収入の10%が基本的なアーティストへの支払額になる。またパーソナライズドプレミアム・ラジオサービスで再生された場合は、同サービスの売上の10%から算出された額または0.0005USドルの大きい金額の方となる。オンデマンドサービスでは同サービスの売上げの30%から算出される。この契約は一般的なラジオで曲がかけられた場合の倍以上のレートになるという。「レコードレーベルに所属するアーティストと同じようにインディペンデント・アーティストが著作権使用料を受けられるチャンスを用意できたことに満足している」とLast.fmのJeff Marois氏。
なお同プログラムの対象となれるかは、アーティストがそれぞれ交わしている契約や各国で所属する団体などによって異なる。そのためLast.fmでは、アーティストがステップバイステップで適切な契約オプションを確認できるツールをWebサイト内に用意している。
Last.fmと音楽レーベルとの関係は今でも流動的で、初の大手レーベルパートナーとなったWarner Music Groupが6月に契約を更新せずに全カタログを削除した。ところが、その1週間後にUniversal Music Groupと音楽ビデオに関する契約を締結。音楽レーベルとの契約交渉の駆け引きが続く中での、今回のArtist Royaltyプログラムの開始となった。