代表取締役社長兼日本地域担当 バイスプレジデントの加賀山進氏 |
シマンテックは、2009年度の国内エンタープライズビジネスの戦略を発表した。社長の加賀山進氏は、27年間日本IBMに在籍した後、日本ピープルソフトやジェトロニクスの社長を務め、今年の4月にシマンテックの代表取締役社長兼日本地域担当 バイスプレジデントに就任している。
加賀山氏によれば、シマンテックは2008年度、ワールドワイドで約6,000億円の売り上げがあり、ここ数年は平均9%の成長を遂げているという。特に昨年は13%の成長を達成しており、大きな伸びを見せている。一方国内は数%の伸びに留まっており、加賀山氏は「これを何とかグローバルの成長曲線に戻していくのが、我々の目標だ」と語った。
そして、加賀山氏はその1年目の2009年を基礎固めの年と位置付けた。同氏は「お客様の満足度をナンバーワンにしなければならない。ナンバーワンにすればすべてのものが後から付いてくる」と語り、成長の鍵はユーザーとパートナーの満足度アップであることを強調した。
加賀山氏がそのために取り組むのが「サービス・品質の向上」「ビジネスのしやすさの向上」「シマンテック認知度(企業向け)の確立」の3つだ。
「サービス・品質の向上」では、具体的な取り組みとしてユーザーにパッチを提供するCustomer Focused Teamの拡充、バーチャリゼーションラボの設立(7月末発表予定)、パートナー向けの技術情報の提供、ユーザー同士が技術情報を交換できるWebフォーラムの開設などを挙げた。
「ビジネスのしやすさの向上」については、注文のしかたやWebでの検索のやり方の見直し、コールセンターの電話番号の統一など、日本の市場慣行に合わせたプロセスそのものの地道な改善を継続して行っていくという。
「シマンテック認知度の確立」については、単体製品販売から複数製品の組み合わせによるソリューション提供への移行を目指し、パートナーとの新しい販売モデルを構築するという。
新しい販売モデルでは、新製品投入直後のイノベータやアーリアダプタをターゲットとする段階においては、シマンテックがベンダーの責任においてマーケットを作り、パートナーのリスクを軽減。ある程度大きな成長が見込める段階になってからパートナーに移行していくという。加賀山氏は「いままでのシマンテックは、販売、導入、サポートのすべができてはじめてパートナーだと思っていた。今後は、パートナーの定義を柔軟に見直し、(販売、導入、サポートの)各フェーズにおいて、シマンテックと新しい関係を構築できるように努力していきたい」と語った。
なお加賀山氏は、現状シマンテックの収益の柱となっているコアビジネスは、「バックアップ」「エンドポイントセキュリティ&管理」「ストレージ&アベイラビリティ管理」「コンシューマセキュリティ」の分野であり、今後の新規・成長ビジネスとして「情報漏えい対策」「コンプライアンス」などを、将来期待できるフューチャービジネスとしてSaaS、エンドポイントの仮想化、クラウドベースサービスを挙げた。