ヤフー 代表取締役社長 井上雅博氏

ヤフー(Yahoo! JAPAN)は3日、地球環境への取り組みの一環として、事業活動で発生するCO2などの温室効果ガス削減を目指し、Yahoo! JAPANの使用電力を対象に100%カーボンオフセット(カーボンニュートラル:排出量とCO2削減プロジェクトなどにより削減されたCO2の量が等しい状態)を目指すことを発表した。また、併せてインターネット上で個人が排出したCO2をオフセット(打ち消し)することができるサービス「Yahoo!カーボンオフセット」を開始したことを発表した。

インターネットサービス企業である同社は、「製造業に比べると直接的なCO2の排出量は少ないものの、サーバを設置しているデータセンタで使用する電力は膨大なものとなる」(ヤフー 代表取締役社長 井上雅博氏)であり、2007年度にはオフィス分約1,000万kwhとデータセンタ分約1億kwhを合わせた約1億1,000万kwhの電力が使用されたという。

ヤフーが1年間(2007年度)に使用した電力量は総量で1億1,000kwh。これをすべてオフセットする

これをCO2に換算すると、年間CO2排出量は約4万4,000tとなり、同社ではこれを2008年度中にオフセットすることにより、カーボンニュートラルを目指すという。

「一般的に社会が行ってきたCO2削減努力はこれまでも行ってきたが、それだけではデータセンタで消費される電力を賄うことは難しい。特にサーバはインターネットの発展により増える傾向にあり、その使用量を下げるのは困難」(同)としており、オフセットの手立てとして"グリーン電力証書の購入"ならびに"国際連合(国連)が認証したCO2排出枠(CER)の購入"を行うことでカーボンニュートラルを目指すという。

"グリーン電力証書の購入"と"CERの購入"によりカーボンニュートラルを目指す

一方のYahoo!カーボンオフセットは、地球温暖化に関心のあるユーザーに対し、国連が認証した世界各地で行われているCO2排出削減プロジェクトを通じて、それらのプロジェクトによって実現したCO2排出枠を購入することで、生活によって排出されるCO2をオフセットするサービス。現状、プロジェクトは再生可能エネルギーに焦点を当てた7つが表示されているが、今後数カ月以内に8つ目以降のプロジェクトが追加される計画だ。なお、どのプロジェクトを選んで良いか分からない場合は、任意のCO2削減事業でオフセットを行うことができる「かんたんカーボンオフセット」というものも用意されている。

Yahoo!カーボンオフセットで個人がCO2排出枠を気軽に購入できるようになる

具体的にはYahoo!カーボンオフセットのページで表示されるCO2削減プロジェクトを選択、Yahoo!ウォレットかYahoo!ポイントによる決済を通じてオフセットを行うことで、カーボンオフセットプロバイダがオフセットの実行を代行してCO2の削減を行うというもの。

ユーザーは、Yahoo!ウォレットかYahoo!ポイントによる決済を通じてオフセットを行うことで、カーボンオフセットプロバイダがオフセットの実行を代行してCO2の削減を行う

費用は、対象のプロジェクトに対して1か月あたり自家用車なしの場合で420円(CO2排出量に換算して121kg)~、自家用車ありの場合で600円(同173kg)~となっており、Yahoo!ポイントでの支払いの場合は1~10万ポイントの範囲でオフセットすることができる。購入が完了されると、カーボンオフセットプロジェクトの証明書をダウンロードすることができるようになる。

CO2排出枠を購入すると、購入したことに対する証明書が発行される

また、同ページでは、カーボンオフセットのほかに温暖化の理解を促進させるためのコンテンツとして、「環境に関するニュース」や「写真」、「地球温暖化に関するグラフデータ」などを見ることができるほか、CO2削減に向けた啓発コンテンツとして、住んでいる都道府県や電気料金などを入力することで自分の生活がどの程度のCO2を排出しているかを算出できる「CO2排出量カリキュレーター」、"移動する""住む/暮らす""食べる"といった生活のシーンごとに、CO2を削減する知恵の掲載などが行われている。

さらに、集合データとしてトップページに、同サービスを通じてオフセットした総利用者数や総額、CO2削減量をグラフで表示しており、日、週、月の各実績と推移を切り替えることが可能だ。

サービスのコンセプトは、利用者に対して、地球温暖化へ問題意識を持つための情報を提供し、実際に行動できるカーボンオフセットサービスの提供と行動した結果を共有できるプラットフォームを目指す、というもの

なお、同社では、同サービスに対し、開始3カ月で数千人程度の利用を目指しており、今後はCERのみならず国連以外の団体が認証したCO2排出枠(VER)によるオフセットなども提供していきたいとしている。