ドリーム・アーツはこのほど、同社の大規模企業向けWebデータベース「ひびき Sm@artDB(以下、ひびきスマートDB)」の単体販売を開始した。

ひびきスマートDBは、報告書や申請書、企画・開発プロセスなど、複数の部署にまたがる企業内の各種文書を業種や業態を問わずに一元的にWeb上で管理できる業務データベースツール。従来、ひびきスマートDBは同社の企業情報ポータル型グループウェア「INSUITE Enterprise」(以下、インスイート)を基盤として動作するため、利用にはインスイートのライセンスを別途購入しなければならなかったが、今回の単体販売の開始により、部署単位での導入を検討している企業や、試験的な導入を考える企業のニーズにも応えることが可能になった。ひびきスマートDBのこれまでの導入先は、ユーザー規模が5,000人以上の企業が中心だが、今後は50ユーザーからの導入が実現可能となる。

単体販売では、インスイートが持つユーザーの情報部分を切り離してひびきスマートDB側に搭載し、ひびきスマートDB単体でも動作するように再パッケージ化されている。ライセンス体系をユーザー数とデータベースの単位(バインダ数)で購入可能なかたちに一新し、ユーザーが希望する導入規模や利用形態に最適なプランで利用できるように提供される。これにより、全社的な導入を検討しながら予算に応じた段階的なシステム導入を行うなど、より柔軟な導入が可能になった。

ひびきスマートDBを手掛けるドリーム・アーツでは、コンセプトとして「必要なのは現場の協働・協創と、良質なアナログ時間の創出」を掲げている。またコンセプトの前提となっている基本認識について「ICTの爆発的な普及やボーダレス化など、あらゆる組織や企業が直面している新たな環境の変化だ。さらにそれに伴い引き起こされた情報とコミュニケーションの洪水・氾濫状態がアナログ時間の激減、労働時間・残業の増加といった悪循環を生み出しているのが労働現場の現状」と同社代表取締役社長の山本孝昭氏は語っている。

一方、山本氏によると負の循環パターンの元凶は、組織内における協業・協創系業務にあるという。こうした状況に対して、情報とコミュニケーションの氾濫を治水するソリューションとして、ドリーム・アーツが提供するのがひびきスマートDBだ。さらに、同社がコンセプトとして重視しているのは日本型のソリューションの提供だ。「決められた業務しかやらない西洋の労働現場に対して、日本は役割分担に対する定義が曖昧。決められたこと以外でも好意・善意で取り組む日本人的な姿勢には、日本的なコミュニティのあり方が必要」と語る山本氏。同社の製品は、こうした臨機応変で有機的な日本型の協業を実現することを意識して、製品開発が行われているという。

ひびきスマートDBのシステムウェアとしての特長のひとつは、GUIによる感覚的なマウス操作でデータベースとワークフローの作成が簡単にできる点にある。データベース作成の手順は、用意された22種類のデータベース用の部品を選択し組み合わせることにより、フォームを作成し、ドラッグ&ドロップでレイアウトを行っていくのが基本的な流れだ。同様にワークフローの作成も、ワークフロー実行者の設定から条件分岐までをすべてGUIによる操作で編集することができる。

また、仕様の透明性が高く、メンテナンスが容易な点もメリットだ。データベースの仕様を画面上で視覚的に把握することができるだけでなく、開発仕様書をPDFで印刷できる機能やフォームを改訂した履歴をバージョン別に比較できる機能など、担当者が変わった場合にも速やかに対応できる工夫がされている。

一方、複数の人がアクセスする企業内データベースにおいては、堅牢なセキュリティも求められる。ひびきスマートDBでは、アクセス権限を「登録・閲覧」「更新」「削除」「一括操作」の4項目に設定し、利用範囲の制御を利用者によって細かに行うことができる。そのほかにも、導入規模に応じたハードウェアの拡張や、負荷分散の構成にも対応しており、外部システムとCSVファイルを経由した連携も可能な点など、柔軟な運用体制にも定評がある。

ひびきの問い合わせ管理フォーム作成画面

ユーザーごとによく使うデータベースの一覧が設定できる

業務フローの編集場面

業務報告フォーム作成画面.

ひびきスマートDBの販売価格は、「ひびきスマートDBスタートライセンスパック」として50ユーザーが60万円、100ユーザーが90万円(バインダ数は各25)の2種類を用意。追加の利用には、ユーザーライセンスとバインダライセンスが必要となり、1,000ユーザーの場合が1ユーザーにつき2万4,000円、100バインダの場合が1バインダにつき4万6,000円となる。