インテル 代表取締役共同社長 吉田 和正氏

インテルは、グリーンITに関するメーカーの取リ組みとソリューションを紹介する「グリーン IT セミナー」を都内で開催した。開会にあたり、インテル 代表取締役共同社長 吉田 和正氏は「1つ1つの企業が何らかの形でグルーンITに取り組む必要がある。企業、私たち一人ひとりが、自分は何ができるのかを考え、できることから始めることが大事だ」と語った。

さらに吉田氏は、インテル自身の事業活動においては、2006年度で390万トンのCO2を排出する一方で、インテルが出荷したプロセッサ等により1630万トンのCO2を排出しているというデータを示し、インテルが環境に与える影響が大きく、エネルギー効率に優れた製品の提供は、環境向上に貢献すると述べた。

インテルが環境に与える影響分野

プロセスの微細化とマルチコア化で省電力化を推進

インテルの2008年の取り組みについては、サーバ製品に関しては、45nmプロセスの微細化技術と、マルチコア化による性能向上で省電力化を推進。クライアント製品に関しては、インテル vProテクノロジーによって、企業コンピューティングの効率化を図るという。吉田氏は「企業がIT投資をする際に、何も考えないでPCを入れるのか、パワーパネージメントに優れたノートを入れるのかでは、1000台、2000台レベルで考えると非常に大きな差になってくる」と語った。

プロセスの微細化はアイドル時の省電力化に大きく貢献するという

Core 2 DuoのノートPC(運用管理あり)の消費電力は、Pentium DのCRTのデスクトップPC(運用管理なし)の17分の1以下になっているという

使用電力の可視化が大きな第一歩

経済産業省 商務情報政策局 参事官 星野岳穂氏

続いて、経済産業省 商務情報政策局 参事官 星野岳穂氏が登壇し、「電力消費が大きく伸びている民生の部分において、革新的、抜本的な改革をやらなければならない。それに対し、一番大きな役割を果たすのがITだ」と述べた。

そして、ITを使って効率化するには、ハードウェアだけなく、ソフトウェアが果たす役割が大きな鍵であり、その要素として「情報処理の効率化」「仮想化」「使用電力の可視化」をあげた。とくに可視化については「グリーンITにおいては、電力をどれだけ使っているのかという可視化が大きな第一歩になる。そこにまた、ビジネスチャンスも生まれてくる」と語り、さらに「あらゆるIT機器でどのように可視化し、どのようなソリューションを提供していくか、そのようなソフトウェアがビジネスとしてどんどん伸びていく」と述べた。

グリーンITはソフトウェアの果たす役割も大きな鍵

パワー・マネジメントの設定で6割以上削減可能

クライメート・セイバーズ・コンピューティング・イニシアチブのメンバーである富士通 パーソナルビジネス本部 プロジェクト統括部長 雨宮 雄氏

また、ゲストスピーカとして登場したクライメート・セイバーズ・コンピューティング・イニシアチブのメンバーである富士通 パーソナルビジネス本部 プロジェクト統括部長 雨宮 雄氏は、米国においては、9割のデスクトップPCはパワー・マネジメントを設定していないというデータを紹介し、スタンバイ設定を利用するだけでも、消費電力を60%以上削減可能と語った。

なお、クライメート・セイバーズ・コンピューティング・イニシアチブは、環境保護意識の高いコンシューマー、企業および環境保護団体から成る非営利団体で、WWF(世界自然保護基金)のクライメート・セイバーズ・プログラムから派生した取組み。インテル 、Google、デル、米国環境保護庁、HP、IBM、マイクロソフトなどによって、昨年6月に設立された。WWFと企業がパートナーシップを結び、企業の温室効果ガスの排出削減の計画とその実施を行って、エネルギー消費を削減する優れた技術の開発、導入、利用を促進することを目的としている。